ベンハミンロメオのボデガ・コンタドールについて

2011/02/18
◆「ボデガ・コンタドール」はテンプラニージョの濃厚さ、タンニンの豊かさを引き出すブドウの栽培地「リオハ・アラベサ」にあります

ベンハミン・ロメオの「ボデガ・コンタドール」は、リオハ・アラベサ(Alavesa)地域の中でもエブロ川上流に位置する、最高のブドウが出来る村・サン・ビセンテ・デ・ラ・ソンシエラ(San Vicente de la Sonsierra)にあります。

カンタブリア山脈を望むぶどう畑

サン・ビセンテ・デ・ラ・ソンシエラ村は、リオハの中でも「テンプラニージョ」の濃厚さ、タンニンの豊かさという性向をそのまま素直に引き出す栽培が特徴で、熟成の長い高級ワインの産地として知られるところです。最近ではベンハミン効果!で、彼の畑の回りには他の有名ワイナリーも進出してきているようです。

この地域は北部に立ちはだかる「カンタブリア山脈」が、北風・雨雲などを押しとどめる「防御壁」の役割を果たしていることから、標高が500~600mあるにもかかわらず比較的温暖な気候に恵まれ、ブドウ栽培には非常に適しています。

ワイン造りの歴史は古いリオハですが、 19世紀後半にフランスでフィロキセラが大流行した際にボルドーから最新の醸造技術が惜しげもなく導入されたことでワインの完成度が格段に上がり、世界に知られる産地となりました。

◆リオハ屈指の醸造家「ベンハミン・ロメオ」の輝かしい経歴

リオハ・アラベサのサン・ビセンテ・デ・ラ・ソンシエラ村で、ブドウ栽培家の息子として生まれ育ったベンハミンは、マドリードでブドウ栽培学とワイン醸造学を修めた後、1985年リオハ・アラベサの協同組合のプロジェクト「ボデガ・アルタディ」にエノロゴ=醸造家として加わります。

1985年から2000年まで、リオハ屈指の醸造家として名門アルタディで手がけたワインには、アルタディ・ホーベン(Artadi joven)、ビーニャス・デ・ガイン(Vinas de Gain)、パゴス・ビエッホス(Pagos Viejos)、 ビーニャ・エル・ピソン(Vina El Pison)、グランデス・アニャーダス(Grandes Anadas)があり、徐々にその手腕は国内・外のマスコミの知るところとなったのでした(特にロバート・パーカーが99点を付けた「ビーニャ・エル・ピソン95」は、当時のスペインワインが獲得しうる最高得点でした)。

アルタディ在職中の1995年、幼少時代からの友人で現在はボデガ・コンタドールのセールスマネージャーを務めるパッチ・フェルナンデスの強い勧めを受け、「サン・ビセンテ・デ・ラ・ソンシエラ城」の時計台の真下にあるクエバ(カーヴ)を購入し、翌年から「ラ・クエバ・デル・コンタドール」を造り始めます(しかしながら、この96年ヴィンテージワインは世に出ることはありませんでした)。

ちなみにこのクエバは中世に掘られ、ワインのカーヴ&計量場(コンタドール)として機能していたことから「ラ・クエバ・デル・コンタドール」と呼ばれており、ベンハミンはこの名をワインに冠したのでした。

ベンハミンは1998年に再び「ラ・クエバ・デル・コンタドール」を醸造。これら2作をうけて、なおも比類無きワイン「コンタドール」が1999年に醸造されることになります。そして、翌2000年には「コンタドール」と「ラ・クエバ・デル・コンタドール」の2種のワインを醸造し、15年間勤務したアルタディを後にします。
この2000年の「コンタドール」がパーカーポイント98点を獲得したのを皮切りに、2001年が98点、2002年が96点、2003年が99点、そして2004年、2005年と連続して100点という快挙を成し遂げてゆきます。

◆ベンハミン氏は、昔からリオハに根付いている固有のブドウ種にこだわり、化学肥料を使わない有機農法にこだわり、収穫はすべて手摘みにこだわったブドウ作りをしています。

ベンハミンはアラベサのサン・ビセンテ・デ・ラ・ソンシエラ、ブリオネス、ラバスティダに、トータル32ヘクタール、58のブドウ畑を所有しています。

いずれも彼の審美眼にかなったものばかりですが、特にサン・ビセンテ・デ・ラ・ソンシエラ城の対岸にある、エブロ川の畔の畑「ラ・リンデ」のテロワールは最高で、彼が最も大切にしている畑の1つです。父親アンドレス・ロメオが植樹し手塩にかけて育て上げたもので、ここから穫れるテンプラニージョのみで「ラ・ビーニャ・デ・アンドレス・ロメオ」が醸造されます。

一方「コンタドール」は、その年の“最高中の最高”のブドウだけで造られます。「コンタドール」の畑やクパージュ(ブレンド)の%が毎年変化するのはこのためです。

ベンハミンはいずれの畑も「ビオディナミカ」を用いて栽培しており、ブドウの収穫には35人のスタッフを総動員し、すべて手摘みで箱に入れられます。これらは最長でも45分以内にボデガに運ばれ、直ちにブドウの選別が始まるのです。そして選定されたブドウは、その日のうちにそれぞれ醸造工程に入ります。

いくつかの代表的な畑について記しますと;

●アンドレスのブドウ畑

畑の名は「ラ・リンデ(La Linde)」。ベンハミン・ロメオの父アンドレス・ロメオが植樹した畑で、エブロ川が大きく蛇行する場所に位置し、ちょうどサン・ビセンテ・デ・ラ・ソンシエラ城の川を挟んで真向かいにあります。
3.5haの畑は、養分に乏しい痩せた土壌で、上面は粘土質、その下は石灰質の地層から形成されています。エブロ川の傾瀉から生じた豊富な丸石によって、排水性はこの上なく良好。栽培品種はテンプラニージョのみ。

親子2代にわたって心血を注いできた樹齢35年の樹々は、「ビオディナミカ(biodinamica=バイオダイナミック)」で栽培されており、畑の一画にはベンハミン手作りのたい肥がうずたかく積まれているのです。
ブドウの樹1本つき、「ラ・ビーニャ・デ・アンドレス・ロメオ」が1本が作られます。

※ビオディナミカ農法:有機栽培の一種であり、農薬と化学肥料を使わず、肥料には動物の糞など自然のものを使用する土壌を破壊しない農法のこと。また、 月・星座・惑星の位置関係、月の満ち欠けなどの情報も栽培(やワイン醸造)に取り入れられる。

●ブリオネス村のブドウ畑

隣村「ブリオネス」にもベンハミンの畑がいくつもあります。中でも1世紀以上も前に植樹されたブドウだけで形成されるこじんまりした畑は、ベンハミンのお宝です。

ここには、テンプラニージョ、ガルナッチャ、ガルナッチャブランカ、ビウラ、マルバシアと、リオハの固有品種だけが「混植」されています。こういったスタイルの畑は、今ではほとんど見られなくなりました。それぞれの農家が小区画の畑でブドウを栽培していた昔は、土地を最大限に活用するため混植が当り前に行われていたリオハですが、ここ数十年で畑の転売が繰り返された結果、その多くが大区画の単植畑に姿を変えてしまったからです。

また近々、リオハでもついに「外来種(ソーヴィニヨン・ブランとシャルドネ)」の植樹が、原産地呼称統制委員会から正式に認可される予定。

そんな中、「僕はリオハの固有種だけにこだわりたい。なぜって、昔からこの地に根付いているブドウが気候風土や土壌に一番マッチしているし、最高のポテンシャルを発揮するはずだから」と気を吐くベンハミンを、まさに体現しているかのような畑なのです。

ムルムロンの畑

ムルムロンを訳すと「(水の)ささやき」といった意味になるでしょうか。サラサラという水音を聞きながらブドウが育つほど、ごく至近距離にエブロ川がゆったりと流れます。ちょっぴりロマンチックな河畔の畑。

緩やかな斜面になっているこの畑には、下面に樹齢3年の若いマスエロとグラシアーノが植えられており、ベンハミンはワインを長持ちさせる(酸味をつける)ためのクパージュとして用いています。これらの品種の酸度はほか固有種よりも若干高く、ほんの少しブレンドすることによって、ワインにアクセントを効かせたり、味を引き締めたりすることも可能になるのです。

ムルムロンの上面には樹齢60年のテンプラニージョとビウラが栽培されています。
ベンハミンは99%のブドウを「ゴブレ式(酒杯型)」で栽培していますが、この剪定法だからこそ東西南北それぞれの方角を向いたブドウ1粒1粒の味わいを、より総合的に深淵にワインに反映できるのだといいます。

ムルムロンの畑

ボンボンの畑

ボンボンとは、いわゆるチョコレートボンボンのことですが、この名はこの一画だけにしかないボンボン型の休憩小屋(スペイン語ではチョソ=Chozoという)に由来しています。リオハの典型的なチョソは縦長のかまくらなのですが、ボンボンは可愛らしい円形のかまくらなのです。

チョソは、その昔から畑仕事の家畜を繋いでおいたり、突然の雨・風を避けたりと、さまざまに活用されてきましたが、リオハ・アラベサの農民はこのボンボンに特に愛着を感じているようで、今でも大事に保存されつつ現役で使用されています。

ここには、コンタドール用の樹齢80年の樹とプレディカドール用の樹齢45年の樹があり、ベンハミンにとっても特別な思い入れのある、格別の畑です。品種はテンプラニージョのみ。

ボンボンの畑

 

◆ハーブの芳香が活きる まるでアートのようなボデガ

1985年に醸造家としてデビューして以来、 自身の創造性を100%発揮した最上質のワインが造れるボデガを建立することを念頭においていたベンハミンは、2008年初夏、ついに「ボデガ・コンタドール」を完成させます。

延べ面積2,700平方メートル、150,000本の醸造キャパシティがあるこのボデガは、カタルーニャの新鋭建築家エクトル・エレラが設計し、ボデガ自体がさながら「アート作品」の様相を呈しています。

外観のみならず、ボデガ内部にもあちこちにアートのための贅沢な空間が設けられており、ベンハミンの友人アーティストの瀟洒なオブジェや絵画、写真が展示されています。

コンクリート打ちっぱなしのモダンなボデガは、クエバがあるサン・ビセンテ・デ・ラ・ソンシエラ城を臨むブドウ畑の真ん中にありますが、将来、1Fが緑、2Fがコンクリート、3Fが岩山のイメージになるように造られ、 数十年後には 周囲の光景と完全に同化させるという壮大な計画。
クエバと完全に同じ方角(真北)を向いており、貯蔵庫は 同温度(14℃)・同湿度(65%)に保たれています。

2階には広大なテラスが設置されており、こちらはベンハミン自身が栽培する野菜の他、無数のラベンダーやローズマリーで埋め尽くされています。これらハーブの芳香は、貯蔵庫(1階)の天井に設けられた専用の通気口から中に取り込まれ、フレンチオーク樽で熟成中のワインに影響を与えるのです。

※「ボデガ・コンタドール」の樽は、いずれも100%フレンチオークで、うちコンタドール、ラ・ビーニャ・デ・アンドレス・ロメオ、ラ・クエバ・デル・コンタドール、ケ・ボニート・カカレアバ、プレディカドール・ブランコ、マシソ(50%のみ)の醸造には新樽を使用しています。









●グルメソムリエについて

商品についての情報
ソーセージ&ベーコンの楽しみ方
ご紹介頂きました
三ツ星レストラン御用達生ハム
スペイン最高峰ハモンセラーノ
生ハム・サラミについて
金賞受賞チーズ
ベンハミン・ロメオのワイン
イベリコ豚のこだわり
高機能ハモネロ・アフィノックス
肉の日感謝デー(過去のプレゼント)