ビオディナミ農法は有機農法の一種です。1942年に神智主義の人智学者、ルドルフ・シュタイナーが行った講演に基づくものです。その内容は、鉱物製肥料の使用を中心としたそれまでの農法を否定し、土壌と植物、動物の相互作用だけでなく、天体の動きにも
着目した農業と定義されています。このように書くとなんだか良くわかりませんが、簡単に言うと、太陰暦を基にしたカレンダーに基づき、化学化合物を一切使わずに、その土地の生態系を整え、生態系を活性化させて、エネルギーに溢れたブドウをつくる農法です。
まず有機農法とは、化学肥料、殺虫剤や除草剤などの化学農薬を一切用いず、天然の有機物や天然由来の無機物のみを使用し、植物とその土壌の生態系の活性化に重きを置いています。周囲の害虫や雑菌や病原菌からブドウを守るために、許された有機農薬や、有機肥料を使います。それによって、残留農薬のない安全なワイン造り、活性化された土壌本来の持ち味の反映されたワイン造りをするための農法です。
それに対しビオディナミはそれをもう一歩進め、環境全体とバランスを取り、地中を含め、畑に生息する植物、小動物、昆虫、微生物、細菌など、全ての関係が人の手が加わっていなかった時代のような自然なバランスで、害虫や病原菌を殺したり避けたりせず、共存することによって、病原菌に負けない体質作り、害虫の被害をほとんど受けない健康な体質づくりをする農法です。人間が、土壌と周囲の環境の自然なバランスを保つ手助けをすることで、問題発生を未然に抑止できる唯一の農法といえます。ですから、この農法によってできるブドウは、より周囲の環境に育まれたブドウですので、気候・風土・環境を最大限に活かした、ブドウそのものがより反映されたおいしさのワインが出来上がります。そして、このブドウから造られたワインは持ちが良いです。
しかしながら、農業が近代化され、生産量と効率のみを求めるスタイルになる以前は、ほとんどの栽培家がビオディナミに準ずる農法でブドウを作っていました。ブドウ栽培家の家系に生まれた
Benjaminが、幼いころから見てきた、お祖父さん、お父さんのブドウの育て方がまさにこのビオディナミに準ずる農法でした。ですので、
Benjaminにとっては、この農法でブドウを作ることはごく自然なことでした。
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