鉄分の味強くコク深い鳩。
ダッチオーブンでまるごとローストし、一人一羽のゴージャスディナーです。
大きなお皿に捌かずそのまま載せて、それぞれがナイフとフォークで解体しつつの食事は、“鳩のロースト”という気取った名称とはかけ離れた豪快さ。
ナイフで削ぎ取れない分は手づかみで食べ、野蛮さも肉食の醍醐味だよなと思ったり。
ソースは乾燥ポルチーニをたっぷり使った強めの味。
レバーを思わせる赤身の鳩のには強めのソースが合う気がします。
フォンドヴォーやマディラ酒やバルサミコもかなり煮詰め、季節に合う重さを出しました。
添えたのはマッシュルームとワイルドライスです。
細長いワイルドライスが鳥の巣のよう、マッシュルームが鳥の卵のようで、偶然ながら巣籠りのような見た目になったのもなんとなく楽しい。
ワイルドライスはずっと使ってみたかった食材ですが、値段を見て躊躇して、普通の黒米を買ってばかり。
今回はスーパーマーケットで“感謝祭フェア”なるものをやっていて、ややお安く手に入れました。
先にバターで炒めてから炊飯器に移し、ブイヨンを注いで炊いたのですが、黒米よりも野菜っぽさが勝るので、重めソースのお料理の付け合わせにはぴったり。
手羽やモモにはお肉はあまりなく、食べる部分は胸肉が主。
しっとりとして筋肉繊維が感じられないほど緻密な舌触りは、濃厚な鉄分の味とともに鳩肉の素敵な個性です。
舌触りの上品さと味のワイルドさが、本当に魅力的でした。
◎作り方
【鳩を焼く】
・鳩は目立つ羽毛があれば抜き、おなかの中まで水で洗う。キッチンペーパー等で水気を拭き取り、おなかの中を含めて強めに塩コショウ。常温に戻しておく。
(お塩は燻製塩を使いました)
(おなかに入っていたレバーとハツは、別に炒めていただきました)
・再度水気を拭き取り、再度塩コショウ。おなかに皮付きのままのニンニク1片と、同じく皮付きの小さなエシャロットを入れる。あらかじめついていたゴムを使って形を整える。
・フライパンにオイルを熱し、鳩の周囲を焼き固める。
・ダッチオーブンに金網を敷き、その上に鳩をのせる。ブラウンマッシュルームを隙間に散らし、ローリエを数枚入れる。(写真下)
・ダッチオーブンをグリルにセットして20分焼いて火を止め、そのまま20分置いておく。
(普通のオーブンでもおいしく焼けると思います)
【ソースを作る】
・乾燥ポルチーニ(多め)をぬるま湯につけて戻してから、みじん切りにする。戻し汁は捨てない。
・小鍋にバターを入れ、エシャロットのみじん切りを炒め、続けて上記のポルチーニを炒める。
・フォンドヴォー(市販の30gパック)とポルチーニの戻し汁を加えて煮詰め、フードプロセッサーにかける。
・ペースト状になったものを小鍋に戻し、別鍋で煮詰めたマディラ酒を注ぎ混ぜる。同じように別鍋でバルサミコを煮詰め、小鍋に加える。
【サーブ】
・ダッチオーブンから鳩とマッシュルームを取り出して皿に盛る。
・金網の下に落ちた焼き汁と脂を、ソースの小鍋に加えてよく掻き混ぜながら煮詰め、塩コショウで調味。
・ソースを鳩のまわりに半分ほど流す。残りの半分は、鳩を捌いて食べるときに上からかける。