フランスのシャンパーニュ地方でつくられる発泡性のワインを、シャンパーニュあるいはシャンパンと呼んでいます。
シャンパーニュをつくるときに使われる葡萄の種類は決まっており、白葡萄のシャルドネ種、黒葡萄のピノ・ノアール種とピノ・ムニエ種の3種類が原料となります。
収穫されたこれらの葡萄は、醸造所に送られて葡萄の品種や収穫された畑ごとに分けて丁寧に選定されます。
特に黒葡萄の場合は、果皮から色素が溶け出す前に素早く果汁を分離しなければならないので、 除梗と破砕が終了するとすぐに圧搾に回されます。
シャンパーニュの圧搾に関しては、100リットルの果汁を取り出すためには160kg以上の果実を使用するように法律で厳しく決められています。
圧搾にはシャンパーニュ専用の底の浅い大きな円形の圧搾機が用いられます。
この圧搾機では、4000kgの果実から2666リットルの果汁を一度に取り出すことができ、高級シャンパーニュの原料となる205リットル樽10樽分の1番搾りと、タイユと呼ばれる2番搾りと3番搾りの3樽分、合わせて13樽分の果汁が取り出されます。
圧搾の工程が終了すると、すぐにステンレスタンクに取り出された果汁を詰めて、最初の発酵が始まります。
ここまでは白ワインの醸造方法と同じ工程であり、上質な白ワインをつくることからシャンパーニュづくりが始まるのです。
シャンパーニュは、毎年一定の味と品質を維持するために、異なる品種、異なる畑、異なる収穫年のワインを調合してつくるという特徴があります。 この調合の製造工程をアッサンブラージュと呼び、調合の割合でシャンパーニュのすべてが決まると言われているほど大事な工程です。
アッサンブラージュは、熟練した味利き役が毎年2月頃から約1ヶ月をかけて行います。
こうして、キュヴェと呼ばれるワインがつくられます。
アッサンブラージュが終わると瓶詰めの工程に入りますが、キュヴェを瓶詰めする前に、蔗糖と酵母を添加して瓶内二次発酵を促進させます。
瓶内二次発酵が終了した後は、瓶を横に寝かせた状態のまま、シャンパーニュ地方の地下深くに掘られた白亜のカーヴで長期間熟成されます。 良質なシャンパーニュをつくるためには、最適な温度や湿度が保たれたカーヴで、3年から5年の間、ものによってはさらに長い期間熟成させなければなりません。
瓶内二次発酵では澱やその他の沈殿物が生じます。
それらを瓶から取り除きやすくするために、数ヶ月間に渡って瓶を回転させて澱や沈殿物を瓶の口に集めていきます。
この動瓶の作業はルミュアージュと呼ばれます。
ルミュアージュによって澱や沈殿物が瓶の口に集まると、デゴルジュマンと呼ばれる澱抜きの作業に入ります。
瓶の口が下になっている状態で、瓶の首だけをマイナス16℃から18℃の溶液につけて澱と共に凍らせます。
栓を抜くと、内部の圧力によって澱を含んだワインの塊が飛び出します。
澱抜きが無事終了すると、同質のワインに蔗糖を溶かしてつくられたリキュールを加えて、最終的なシャンパンの甘さを決定します。
あとはコルクで栓をして、数ヶ月間寝かされて出荷を待ちます。
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