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スペインワインの位置づけと格付け「格付けによるワインの違いを楽しむ」

スペインにおいて最初のワイン規制が行われたのは、18世紀に入ってからです。 15世紀末に大航海時代が幕開けとなってから、それまで交易のなかった国々から低価格で低品質のワインが輸入され、スペインワインの品質が不安定となりました。その事実を受け、事態を重く見たスペインワイン業界は、スペインで生産されるワインの品質を明確なものとして保持するために、特別立法を交付しました。

1920年代になると、それまでの規制基準がより強化され、原産地呼称制度と呼ばれる制度が確立しました。 原産地呼称制度とは、特に品質が優れていると評価される特定のワイン産地を指定する制度で、高級赤ワインの産地として知られるリオハが最初に指定されました。 リオハに続いて、シェリーの産地として知られるヘレス、マラガなどが指定を受けました。

1970年代になると、「ブドウ畑、ワインおよびアルコールに関する法令」が施行され、この法令に基づいて原産地呼称庁が設立されました。その後、原産地呼称庁によって原産地呼称を名乗ることができる条件が定められ、その規制を管理する機関として原産地呼称統制委員会(コンセホ・レグラドール)がそれぞれの原産地に設置されました。 原産地呼称が認められるためには、ブドウ栽培面積、地域の境界限定、栽培ブドウ品種、植樹密度、収穫量、かんがいの規制など、細部にわたる厳しい条件をクリアしなければなりません。 ブドウの栽培条件のほかにも、ワインの生産量や醸造法、ワインのタイプ別に使用されるブドウ品種、アルコール度数、総亜硫酸量、揮発酸度、官能試験検査など、ワインについての条件も定められています。

2003年には新しいワイン法が施行され、それに基づいてワインの格付けが新たに設定されました。 それから、2009年にはEUワイン法が改定されることに伴い、さらに新たな原産地呼称が定められました。 新しいワイン法によって、これまであった指定地域高級ワイン(VCPRD)という原産地呼称が廃止され、それに代わって保護原産地呼称(Denominacion de Origen Protegida/DOP)と(Indicacion Geografica Protegida/IGP)の2つが設定されました。

原産地呼称制度は、いわばワインの身分証明書のようなものに値します。そのワインがいつ、どこで、誰に、どのようにしてつくられたのか、消費者が明確に知ることができるように、国や地域単位で厳格な管理が行われています。 原産地呼称統制委員会が設置された地域において、地域内で栽培された認可ブドウ品種を原料としてワインをつくり、厳しい規制基準をクリアしたものだけが原産地呼称ワインとして認められるのです。

では、新しいワイン法によって分類されたスペインワインの格付けを、具体的に見ていくことにしましょう。 スペインワインの格付けは、底辺から頂上まで6層に分かれたピラミッド型のイメージでしばしば表現されます。

まず、ピラミッドの底辺にあたる格付けとして、テーブルワイン(Table Wine)と呼ばれるカテゴリーがあります。テーブルワインの格付けはビノ・デ・メサ(Vino de Mesa)と呼ばれるもので、一般的に大量生産されるワインのことを指します。ビノ・デ・メサは、格付けのない地域や畑で栽培されたブドウを使用、あるいは醸造所が域外にあったり、異なる地域や畑のワインをブレンドしてつくったワインの総称です。ラベルには、地域名、ブドウ品種名、収穫年などの表示が一切認められていません。スペインワインの年間生産量の75%を占めています。

次に、テーブルワインの上段に位置する格付けとして、保護地理的表示(Indicacion Geografica Protegida/IGP)と呼ばれるカテゴリーがあります。保護地理的表示の格付けはビノ・デ・ラ・ティエラ(Vino de la Tiera/VT)と呼ばれるもので、地方ワインやカントリーワインのことを指します。ビノ・デ・ラ・ティエラは、格付け名称のあとに町や郡や地方名が併記されたもので、地域名を冠したテーブルワイン的な存在であるともいえます。フランスにおけるヴァン・ド・ペイにあたる位置づけで、使用される樽の容量は600リットルが上限となっています。 ビノ・デ・ラ・ティエラにはビニェードス・デ・エスパーニャが含まれます。 ビニェードス・デ・エスパーニャとは、2006年に安価な輸入ワインと区別するために設けられたカテゴリーです。 ガラス製の瓶だけではなく、バッグ・イン・ボックスに詰めることも可能なワインですが、一部の銘醸地域ではその使用が禁止されています。

保護地理的表示の上段には、保護原産地呼称、デノミナシオン・デ・オリヘン・プロテヒーダ(Denominacion de Origen Protegida/DOP)と呼ばれるカテゴリーがあります。保護原産地呼称のカテゴリーは、さらに4つの格付けに分類されます。

格付けの下段には、地域名称付き高級ワインと呼ばれるビノ・デ・カリダ・コン・インディカシオン・ヘオグラフィカ(Vino de Calidad con Indicacion Geografica/VC)があります。 これはある特定の地域、地区、村落などにおいて収穫されたブドウを原料として醸造、熟成されたワインのことを指し、地域性が表現されたワインになります。この格付けで5年以上の実績がある産地は、その上段に位置する原産地呼称ワインへの昇格を申請することができます。

原産地呼称ワインとは、デノミナシオン・デ・オリヘン(Denominacion de Origen/DO)とも呼ばれる格付けです。 原産地呼称統制委員会が設置された限定原産地において、地域内で栽培されて認可を受けたブドウ品種でつくられた上質なワインのことを指します。

そして、原産地呼称ワインの上段に位置するのが特選原産地呼称ワインと呼ばれる格付けです。 特選原産地呼称ワインは、デノミナシオン・デ・オリヘン・カリフィカーダ(Denominacion de Origen Calificada/DOCa)とも呼ばれ、原産地呼称ワインの中から厳しい基準で昇格が認められた高品質なワインのことを指します。 2009年の時点で特選原産地呼称ワインとして認められているのは、リオハとプリオラートの2つだけとなっています。

さいごに、保護原産地呼称の最上段、つまり、ピラミッドの頂点に位置する格付けが、単一ブドウ畑限定高級ワイン、ビノ・デ・パゴ(Vino de Pago/VP)です。地域による限定ではなく、ワインづくりに必要な気候や地形、地質、土壌などのテロワールが突出している限定畑において生産される、個性的な高級ワインを指します。

2003年に新しいワイン法が施行されるまで、既存の原産地呼称ワインや特選原産地呼称ワインの地域外で生産される高級ワインが、テーブルワインであるビノ・デ・メサの表示しか認められなかったことを受け、新たに誕生した格付けです。原産地呼称地域内においても、認定を受けることが可能です。

以上、国や地域単位で厳格な基準を設けて管理されている格付けは、原産地によるワインの違いを私たち消費者に分かりやすく伝えてくれる重要な指標となっているのです。

 

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