生ハムのよくあるご質問・Q&A

ご挨拶

ハモンセラーノ、ハモンイベリコベジョータ、パルマハム、サンダニエーレハム、ジャンボン・ド・バイヨンヌ、金華火腿、これ以外にも世界各国でつくられる生ハムはいっぱいあります。

そもそも「生ハム」という呼び名は日本だけの呼び名で、それぞれの国では上記のように呼ばれているわけですが、日本には上記を生ハムと呼ぶ以外にも、上記とは別の製法の生ハムを「生ハム」と呼んでいる大手ハムメーカーがつくっているものもありますので、ますますやっかいでわかりにくいと思います。

かつて日本は肉食があまり進んでいない歴史が有り、ハムと言えばドイツ式の加熱調理したハムの技術も品物も先に輸入された経緯がありますが、冒頭の生ハムと言われているものは、数百年数千年もの昔の冷蔵庫が無かった時代に食肉を保存する方法として完成された食肉加工品と言えます。

つまり歴史的に逆の順番で日本に入ってきたので、ある意味、不可解な食べ物としての「生ハム」があり、そこになぜ?とか、どう?食べたら良いのか?料理は?レシピは?そして生ハム原木の保存方法は?そもそも何でこんな大きなものが出来たんだ?等などの疑問や質問があるんだと思います。

こちらのサイトは、そんな生ハムに対しての疑問や質問に答えたQ&A集です。少しでもお役に立てば幸いです。

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Q1 「生ハム」という名称のハムのことで質問です。よくスーパーやコンビニで販売されています国産の「生ハム」と呼ばれるハムとスペインやイタリアの生ハムでハモンセラーノやプロシュットと呼ばれるものは根本的に何がちがうのでしょうか?飲食店でも「生ハムの〇〇」などというメニューを見ますが、食べてみると期待の生ハムとは違ったりがっかりすることもありますので教えて下さい。



※「生ハム」と呼ばれる国産のラックスハム。この商品はスペイン産など表記してあり、一般の方にはスペイン産ハモンセラーノとの区別がわかりにくくなっていると思います。

※日本の生ハム売り場とは対照的なスペインのスーパー(カルフール)の生ハム売り場。このように常温でむき出しのまま骨付き原木が売られています。

A 写真にあるような国産の「生ハム」は、正式にはラックスハムと呼ばれ、主にドイツでつくられている製法の生ハムです。塩漬けし、乾燥燻煙し2日程度で出来上がります。このハムの部位は主に骨が無いロース肉が多いです。ほぼ均等な形でスライスがしやすく熟成はかけないところからロース肉が最適と考えられるからです。

一方、スペインやイタリアの生ハムは骨付きの後足と骨付きの前足を使うことがほとんどです。まれに骨の無いロースと肩ロースを使う場合もありますが、代表的なものは骨付きの後足を使います。国産のロース肉を使うラックスハムの大きさは3kg前後ですが、骨付きの後足を使う場合は、15kg前後のものになります。塩漬けし、乾燥し、発酵熟成を長い期間かけます。長い物では4年から5年熟成をかけます。ラックスハムとの決定的な違いは「発酵熟成とカビ付け」にあります。この工程は塩漬け後の数ヶ月から最終までずっと継続されその間常温で熟成されます。

基本的な違いは、発酵熟成されるのがスペインやイタリアの昔からの生ハムで、されないのがラックスハムと呼ばれる国産生ハムです。 また常温で保存が出来るのが、スペインやイタリアの生ハムで、出来ないのがラックスハムと区別することも出来ます。 仰るようにレストランなどのメニューでは区別が付かないとは思います。なるべくでしたら〇〇産ハモンセラーノとか、〇〇産プロシュットとかを表記して頂きたいと思います。

 

Q2 ミニハモンの件で質問です。1kg前後のハモンセラーノと小さな台とナイフのセットで「ミニハモン」という名称で販売しているものがありますがこれはどういった性格の生ハムでしょうか?。また御社のミニ原木というものとどちらを購入しようか?迷っています。両社の違いとか、良い点、良くない点など分かりやすく説明をお願いしたいです。よろしくお願いします。


A 最近ではミニハモンという名称で生ハムのような三角の形をした小さな生ハムの塊が販売されているようですね。可愛い形で見た目にもスマートで生ハムを見た目で楽しめると思います。

作り方を簡単に説明させて頂きますと、生ハムの原木の骨を抜いてきれいに整形をして、数個の生ハム同士を圧縮プレスして生ハム同士を接着して、均等な大きさにカットしたところを再度成形プレスをして形を整えて(可愛い形にして)製品化をしているそうです。その製造工程が(プレスして接着する工程が)特殊技術を使っているとのことでした。

イタリアでもマトネラと言いまして、パルマハムなどのプロシュットをスライスしやすいように長方形の形に整形するプレスマシンがありますが、生ハムには相当な負荷をかけていてこの方法でスライスをするプロシュットは原木から切り出すものより品質的にどうしても落ちてしまいます。そのせいか最近ではイタリアでもプレスしない状態のもので、ボンレスでスライスできる形態のものが出てきていますね。 そういうことからも生ハムをプレスすることは生ハムの肉繊維に相当なダメージを与えることなんですが、ミニハモンの場合はそれをかなりの圧力でくっつけたり整形したりと2回やっています。残念ながら生ハムとしての味わいは通常の生ハムとはまったく別物だと思います。

一方、弊社などがやっている生ハムのミニ原木は、骨付き原木から抜いただけのものからカットしたものですので、形は不揃いですが、生ハムの肉繊維にはほとんどストレスがかかっていません。通常の生ハムと同じ味わいではあります。

ミニハモンは形は可愛いけど、生ハム自体に相当なストレスがかかっているために生ハム本来の味わいとは別物となっており、弊社の生ハムミニ原木は、本来の生ハムだけど形は不揃い、部位も別れているということで、あとはお客様のお好み次第だと思われます。

 

Q3 骨付き生ハム原木は常温で保存してカットすることで美味しく食べられる、、、と聞いたことがありますが、実際にはどうなんでしょうか?


A その通りです。スペインなどのバルでは常温で何十本も店内に吊しながら生ハムを良い状態にしてカットしています。日本に輸入された生ハムはカットする前から冷蔵できたものだったら最低でも2日前から、出来れば1,2週間まえから常温に慣らし、生ハム内部から活性化させ、熟成感を増し香り出しをすることで、脂の部分もトロッとしたみずみずしい食感で食べられるようになります。

写真は美味い魚介を食べさせてくれる居酒屋さんの料理ですが、生ハムの扱い方が上手で、甘い香りとまったりとした食感の生ハムを味わえます。


※このお店の生ハムは1本をカットし始めたら、すぐに次の生ハムのオーダーが来て、店内の柱に吊しでの追熟が始まります。

 

Q4 生ハムは原木からカット後にどのようにしたら美味しく食べられるでしょうか?


A 先ずは生ハムは骨付き原木から切り出すことで空気に触れることで香りが出て美味しくなります。カット後3分程経ってから食べるだけで柔らかく香りよく感じます。

また別の方法で美味しく食べることも出来ます。それは温度の力を借りることです。温めたバケットにのせて脂をより柔らかくさせたり、皿を温めて同様に美味しくしたりです。写真のような皿が無くても皿をオーブンで温めたり、お湯にくぐらせて皿を温めてそこに生ハムを盛りつけるだけで、香りも良くより美味しく食べることが出来ます。


※カリッとやいたバケットにのせることで生ハムが柔らかくなります。

※パリのハモンイベリコベジョータ専門店の食器。皿の中にはロウソクがともっていて皿を温めています。

 

Q5 骨付き生ハム原木の可食部分はどのくらいでしょうか? 一般的な骨付きの生ハムで、骨や食べられない脂や皮の部分は、どれくらいの重量があるのでしょうか?平均的な割合でいいですので教えて下さい。



※きれいに最後までカットされた生ハム原木。

A まず蹄を含む骨の重量は、だいたい生ハム全体の重量に対して20%くらいで10kgの原木ですと2kgくらいです。その他、脂の部分や酸化した赤身部分や皮など終了までを検討しますと2.5kg程で合計4.5kg、最終的に可食部は55%(生ハムの重量が10kgなら5.5kgくらい)になると思います。こちらは弊社が扱っている平均的な生ハムのおおよその数値になります。

また重量が大きくしっかりした豚を使った生ハムは脂が多いので、その分を歩留まりに入れるか入れないか?で変わってきますが、入れない場合は可食部は50%くらいになると思います。しかし酸化していない真っ白な脂は、そのまま美味しく召し上がったり、料理に使ったり、通常のラルド(イタリアでは背脂を塩漬けして熟成したものをラルドと言います)より、長期熟成の上質なラルドとして使えますので、それらの使い方次第で、可食部の歩留まりは変わってきます。

また生ハムのメーカーによって豚の種類も違い、脂の厚さや、骨の太さなども微妙に違いますので歩留まりが変わる場合もあります。

 

Q6 生ハムをカットしていきますとカット面の表面と中から白いゴリっとしたようなものが結構出てきてますがこれは何ですか?


A チロシンと言われるもので良質なもので発酵熟成をした食品に多くみられるものです。タンパク質がアミノ酸に変わる際にできる結晶で食べても問題ありません。

チロシンで代表的なものは、パルミジャーノチーズのゴツゴツしたもの自体がチロシンですが、このチロシンによってパルミジャーノチーズは歯ごたえも楽しめるチーズになっています。生ハムやチーズは熟成されることで旨味成分であるアミノ酸が数倍から数十倍に増えることは特に知られていますが、チロシンは長期熟成をした生ハムやナチュラルチーズに多く見られる結晶です。


※白いチロシンは一つ一つが結構大きなものもあり、可食できることを知ってないと少しだけ気になります。

※チロシンはチーズに多く見られますが、このようにカットした生ハムにも当然みられるものです。

 

Q7 スペインなどからの生ハム送付で質問です。漫画「新米姉妹のふたりごはん・柊ゆたか著」では、ハモンセラーノ骨付き原木をスペインから日本に送ってくるところから始まりますが、現実には可能なのでしょうか?またお土産で海外から同様に生ハム骨付き原木を持ち込むことは可能でしょうか?ご商売以外のことですみません。


A 現実には可能ですが、日本に輸出許可がある生ハムメーカーであることが前提になります。

しかしながら聞くところによるとスペインの税関の申請が1ヶ月前後かかるようです。場合によっては生ハムの検体も採取される可能性があるかも知れません。スペインなど海外の空港でも生ハムやサラミなど販売していますが、これを購入して日本に持ち込むのはアウトです。同様に申請書はスペインの税関に申請をして待つことになるので現実的ではないと思います。

ところで「新米姉妹のふたりごはん」はテレビ東京の木ドラ25で放映されるようで番組では弊社のハモンセラーノ骨付き原木が使われており、大変感謝いたしております。

 

Q8 生ハム生活の骨付き原木の保管について質問です。生ハム原木セットに興味のある素人です。自宅で猫を飼っており、適当な場所にさらして設置する保存は無理だと考えています。戸棚にしまって保存する等、猫がいる家庭における良い保存方法はないでしょうか?


A おっしゃるように、生ハム骨付き原木が入る戸棚のようなものがあれば、カットしない時はそこに収納できますので大丈夫です。ただ入梅や夏場は、戸棚によっては空気が動きませんので、蒸れたり、カビが生えやすくなるかも知れません。生ハムをカットしないときは食器棚の上にのせてしまうとか、部屋の中央よりの天井から吊してしまうという方法がありますのでご検討下さい。もしそういう場所が見つかった場合には、生ハムから脂が垂れることが予測されますので、ククルチョス(脂受け)などもお使いになることをお勧めいたします。

余談ではありますが、熟練した職人は吊してある状態の生ハムをカットすることも出来ます。スペインの生ハム専門店ではカウンターの前に数種類の生ハムを吊しておき、お客さんのオーダーがある度にカットして販売しています。

 

Q9 前足の生ハム・バレタイベリコベジョータは、後ろ足の生ハムに比べて脂身が多いのかどうか?質問です。初めて原木を注文しようと思っていますが、脂身が多いのであれば他のにしようか?悩んでいます。脂身の多い生ハムは他にもあるのでしょうか?また脂身が多いことに何か特別な意味があるのでしょうか?赤身の比率が多い生ハムはないのでしょうか?


A パレタイベリコベジョータは肩肉を熟成かけた生ハムですが、肉質のしっかりした豚を使用しており、さらにベジョータということもあり、かなり脂の多い生ハムです。ベジョータは脂身が特に多くなります。

またパレタという部位が、脂が比較的多い部位でもあります。脂は酸化しますが、肉が酸化するのを守ってくれます。脂は高級果実の厚い皮のようなもので、中の美味しい生ハムを守っています。また脂身が多い豚は肉質が良いことの証明です。赤身の部分も美味しく食べられます。反面、赤身率の多い豚は、肉質があまり良くない物が多く、赤身の部分の味わいも落ちます。

※赤身の比率が多い生ハムは、ドイツやオーストリア産の豚を使ったものが比較的多いです。


※パレタイベリコベジョータの平均的な脂ののり。ここまでは脂だらけでやっと赤身が見えてきたところです。

 

Q10 ハモンセラーノの生食についての質問です。お店で使いたいと思い、ハモンセラーノ骨付生ハムの購入を考えています。2011年10月から食肉の生食の衛生基準が厳しくなっていますが、生ハムはレストランで出しても大丈夫でしょうか。


A 生ハムは生肉とは違った分類になりますので、2011年10月の衛生基準の適用外になります。

  1. 生ハムは非加熱食肉製品になり、生肉とは違う分類ですので、10月の法律は生ハムには適用されません。
  2. 国外で生ハムに発酵熟成された後、輸入された食品であることからも適用外になります。
  3. 輸入生ハムに関しましては、輸入前と輸入時に生食の厳しい基準に合った検査がなされ、クリアしたものだけを国内で販売する事が許されます。
輸入生ハムの基準に関しましては厚生労働省のホームページなどでも説明されておりますので、ご参考下さいませ。


Q11 骨付き生ハムの保存で適した環境と保存の仕方を教えて下さい。一度に食べきれず、かといって毎日食べると言うよりは、次回のプチパーティのような時にまたカットしたいと考えています。


A プチパーティなどの人が集まるときに生ハムがあると無いでは大いに盛り上がりが違いますね。またいろんな野菜やオードブルと一緒に食べる事で更に美味しくなりますね。

長文ですが、いろんな点から考えてみることとします。

生ハムの保存で適した環境を考えることは、生ハムをつくっている現地の環境を見習うことで見えてくるものがあります。

  1. 生ハム製造の環境を見習うことです。現地の生ハムの熟成庫は、常に常温になっています。しかしながら太陽の光は入らず、石造りの熟成庫は日中でも温度が上がりにくい環境です。外との温度差は10℃から15℃あることも珍しくありません。夏は20℃前後〜冬は5℃前後の温度になっているところがほとんどです。
  2. 生ハムを製造しているヨーロッパの生ハム売り場ではどんな環境で販売されカットされているのか?スペインを例にとってみます。 販売されているデパートなどではむき出しの常温での販売が一般的です。購入されたお客さんは同じく常温でカットされます。スペインのバルなどでも常温で管理されカットされます。
  3. 生ハムの製造本国では見られないのですが、我々インポーターが日本への輸入の際には冷蔵保存の状態で輸入することがほとんどで、国内に入った後も冷蔵倉庫で冷蔵され保存されます。温度は10℃以下の場合が多いです。

上記(1)から(3)のことまでから検討しますと、生ハムは常温でかなり暑くても保つ食品ですが、熟成はより進んでいきます。その理由には生ハムの熟成庫が常温だからです。 で、(3)の場合はどうか?と申しますと、熟成は進まず保存が出来る状態です。


結論は、熟成が進んでも良い場合は常温で日が当たらないところ、熟成を進ませたくない場合は冷蔵庫になるかと思われます。(大きい冷蔵庫がある場合はこれがおすすめです

冷蔵庫や冷暗所などの場合は、生ハムのカット面などは酸化を防ぐ点から、真空パックなどが有効になりますが、暑い温度の場合は生ハムが蒸れることから1週間以上の真空パックなどはおすすめ出来ません。 冷暗所では床下収納庫などがありますが、まめに生ハムの状態を見られないことから、生ハムを真空パックされた状態で保存をするのなら適しているかも知れません。 その他は、ワインセラーなども温度が低いので長期の保存にはおすすめです。

常温の場合は、熟成と乾燥は進みやすいので、ある程度固くなるのを承知で保存をするか、柔らかいうちに食べきることになると思われます。ただ、固い部分の生ハムも噛みしめると味がありますので、スコッチやバーボン、焼酎などの蒸留酒系には非常に良く合います。

 

Q12 骨と蹄が付いた骨付き原木という生ハムはどう?保存をしたら良いでしょうか?またどのぐらい日持ちしますか?


A 生ハムの保存につきましては「上記Q11」でお答えしておりますので割愛させて頂きます。

日持ちの件につきましては、弊社の骨付き原木生ハムの賞味期限は真空冷蔵の状態で1年〜2年となっております。開封後は、生ハムの保存の状態や外部環境によって変化します。もともとスペインやイタリアのハモンセラーノやパルマハム等の生ハムは冷蔵庫の無い時代からの保存食であり、その時代には冬の時期に豚の後足を塩漬けし、塩漬けが終わった後水で洗い、外の風で十分に乾燥し発酵させ春先の常温でも熟成出来るようになり、完成後は常温で保管し次の冬や翌年の冬まで保たせていました。こうやって出来た生ハムは、適正な保存をすることで1年どころか数年間も常温で保存が出来ます。

ただ実際にはカットしながら保存をするわけですから、カット面から特に乾燥がすすみ(乾燥が進むと言うことは水分活性が少なくなるので益々常温で保つようになるわけですが)保存は出来るけど生ハムが固くなるという現象になってくると思われます。

実際には日持ちということを食べて美味しく食べられる期間(そんなに硬くなく)としますと、3ヶ月ぐらいがおすすめです。飲食店様では長いところで3ヶ月で1本消費している方もいらっしゃいますので。

 

Q13 骨付きの生ハムをカットする際に、皮や骨や脂などが出ると思いますが、何かお料理に良い使い方はありますか?


A 皮と骨からはいいゼラチン質のブイヨンが取れます。通常の生の皮と骨を使うより生ハムの方が上質のものがとれます。 調理方法は、皮はお湯で良く洗い、一度沸騰させ茹でこぼします。骨も同様にして、そのあと骨を割ります。骨はバールのようなもので割と簡単に割れますが、出来ない場合はノコギリでカットします。お好みで香味野菜類をいれて5時間前後煮ることで上品なブイヨンがとれます。浮いてくる脂は酸化している脂が多いですので徹底的に取り除くことが上質なスープには必要です。 豆の煮込みや、カスレ、パエリヤ、ポトフなど何にでも使えるスープがとれます。小出しが効くように袋に分割して冷凍後、ジップロックなどで保管することで手軽にいろんなお料理に使えて便利ですのでご参考下さい。

脂は黄色のものは酸化しています。食べられますがおすすめ出来ません。白い良質な脂は使えますし、イタリアでは背脂をラルドといい、パンにのせたり料理に使ったりと、珍重されています。生ハムから切り出しの際に白い脂はラップなどでピッタリとくるんで冷凍をかけることで3ヶ月前後は使えるようになりますので、是非お試し下さい。スペイン風でしたらパンコントマテにのせたり、豚のソテーに乗せたり、海老に巻いてソテーをしたり、白身魚と一緒に焼いたりと脂身を補う料理などにもご利用頂けます。

 

Q14 生ハムを食べる際にいろんなマリアージュが可能と聞きました。実際にはどんな食べ方やレシピがあるのでしょうか?


A 生ハムは発酵熟成食品ですので旨味成分が多く含まれており、合わせる食材との旨味の相乗作用を利用したレシピなど期待できるところです。写真はカレイの刺身と生ハムを合わせたメニューです。生ハムはハモンイベリコ・セボで、部位は赤身で旨味が強いピエルナです。カレイも鮮度が良く全く生臭くなく旨味がある魚ですが単体では感じにくく、ハモンイベリコと合わせることで旨味をより感じることが出来て、ボディのしっかりした赤ワインに良く合っていました。

生ハムと食材のマリアージュは、生ハムと他のサラミやハムはもちろんのこと、サルティンボッカなど生ハムと肉、生ハムと野菜、生ハムと魚介類、生ハムとチーズ、生ハムとフルーツ(干し柿なども)、そして生ハムの骨付き原木の堅くなったところなどは、雑炊や、リゾット、卵焼きと生ハム、旨味の詰まった生ハムのコロッケ等など、数え上げたらきりがないほど生ハムを使ったレシピは多彩です。


生ハムの濃い味わいとしっかりした魚介の旨味がベストマッチ!/カレイとハモンイベリコ・ピエルナ

 

Q15 ハモンイベリコなどの生ハムはスライサーで薄くカットするときれいにスライス出来るそうですが、実際にはいかがなものでしょうか?当店でもスライサーの導入を検討しています。


A 最近では3万円前後の価格で高性能なハムスライサーが導入できるようです。弊社もスペイン大使館主催のスペインワイン&フード商談会などの展示会に持ち込んで、「スライサーでスライスした生ハムの美味しさ」も伝えていこうと最近始まりました。

写真の生ハムスライスはハモンイベリコですが、原木でカットしてきて熟成感がでて少々乾いてきたところで骨から外し、スライサーで薄くスライスをしました。スライサーのメリットはいろいろありますが、少々硬くなった生ハムを特に薄くスライスすることが出来、薄くスライスすることで熟成感のある生ハムを柔らかく食べる事が出来ます。また手切りと違った肉の目でスライスする(直角)ことが多いですが、通常のスライスパックと切り立てのスライスを食べることが出来て差別化につながることと思います。


最近のミニスライサーはこのように生ハムを薄くカットできて美味しいです。

 

Q16 ハモンセラーノなどの生ハムのスライスパックは要冷蔵と書いてありますが、実際には常温でどれだけ保存が出来るのでしょうか?どのぐらい経過したものが食べられますか?


A 基本的にハモンセラーノなどの生ハムのスライスパックは冷蔵保存をおすすめします。生ハムの原木は常温で保存が可能ですが、スライスは一度空気に触れていることと刃物などでカットしていることから同じ生ハムでも保存方法がことなります。写真はあくまで自己責任の範疇で試し、試食をしてみました。


真夏の事務所に常温で2週間ほど放置された生ハムスライスは大丈夫か?

実際には何ともなく食べられたのですが熟成は結構進んでいて、進みすぎたことで風味が少し劣っていたと思われます。 ここまでのことは、通常のハムではもちろん、ラックスハムの「国産生ハム」でも出来る芸当では無く、ハモンセラーノなどの「伝統的生ハム」があらためて冷蔵庫の無かった時代から食肉を常温で保存するための、発酵食品であることが良く理解出来ます。

 

Q17 うちは街の肉屋さんから生ハムを取っていて、肉屋さんはグルメソムリエさんのようなインポーターから仕入れているようです。生ハムの扱い方が今ひとつわからなく、肉屋さんに聞いたところ、「生ハムの保存は、お店が終わったら冷蔵庫にいれて翌日出してカットして下さい」としか聞いておらず、日数が経つうちに美味しくなくなり、生ハムがへんな感じ(これで良いのか?わからない)になっています。お肉屋さんはこれ以上の何の情報もなく、その上の供給先も同じような感じで、何ともしようがありません。(※ということで飲食店様ということもあり、お客さんにどうやって出して良いのか?わからない状態でした。弊社が出展した展示会でのやりとりのQ&Aです。)


A とりあえず生ハムは常温で保存をして下さい。そのハムが終わった時点で、「よろしかったら弊社の生ハムを『生ハム生活の手引き書』通りに開封し、保存しながら切りすすめて下さい。」とお話しをしました。

後日聞いたところ、フビレスのハモンセラーノレセルバ16ヶ月熟成は大好評で、今ではバビージャ側から切り始めてその間に、マサ側の熟成感が増してより美味しくなったとのこと。生ハム生活の手引き書は何度も熟読をしています。このようなノウハウのある生ハム屋さんは初めてです!とのこと、感謝申し上げます。

 

Q18 生ハムの脂の酸化についてご質問させて頂きます。ハモンセラーノを購入して、保存時は手引書に従い、切り口に削り取った脂部分をこすり付けたり、オリーブオイルを塗ったりしていますが、購入後半年ぐらいから、脂部分の表面だけではなく、全体が酸化してきて(黄色くなってしまった)、脂部分の食感も舌を刺すような苦味(?)が出てきています。酸化を遅らせて、半年以上も楽しめるような方法はないのでしょうか?


A 生ハムが空気に触れている限り酸化は起こりますので、空気に当てないのが一番の方法です。

  1. 生ハムをできるだけ低温で保存し、熟成が進まないようにする。又はカットする面積をできるだけ小さくしながらカットをしていく。
  2. 空気に当てずに、真空等で1.と併用しながら、又はカットしてあっても真空の状態と併用しながらで対処する。
  3. 途中の段階で生ハムをブロックでカットして、真空冷蔵保存をするか、真空ができない場合はなるべく空気に触れないように冷蔵庫で保存をする。

酸化と熟成がそんなに進まない方法は、生ハムを分割してカットした面に、オリーブオイルなどのオイルを塗るか、全体をラードでくるんで空気と遮断をさせ、ある程度の低温保存が宜しいかと思われます。酸化したところの脂は仰るように、舌先がしびれるような苦味のようなものが出てきますので、美味しく召し上がるにはそれを取り除くことをおすすめします。

 

Q19 生ハムの乾燥と酸化を防ぐ、マンテカ脂を誤ってふき取ってしまいました。生ハムが乾燥してダメだとわかったのは、後で手引き書を見たからです。お手数ですがマンテカ脂を分けていただけませんか?


A マンテカ脂でございますが、スペインから塗った状態で輸入されるため、残念ながら弊社にマンテカ脂は持ち合わせがございません。 代わりに対処する方法としては、ラードを塗ったり、ラードに小麦粉を混ぜ練り、それを塗ります。マンテカ脂はなくても生ハムの品質が悪くなるということではなく、生ハムの乾燥を防止しながら酸化もすすみにくくします。

ラードだけでも大丈夫なのですが、温かい時期などはラードが溶けてしまいますので、小麦粉などを一緒に練り込みマンテカ脂自体を溶けにくくします。塗り方はしっかりと表面の塗り残しのないように厚めに塗って下さい。

 

Q20 ハモンセラーノ・レセルバとハモンイベリコ・セボでは、脂の出方(溶け具合)?に違いがありすぎるようなので、質問させて下さい。 今年はハモンイベリコ・セボを購入し、昨日開封・カットを開始したのですが、ハモネロに固定する際に、ねじ込む足首から液状化した脂肪と思われる液体が流れ落ち、そのまま放置しておきますと床までたれてしまいます。この現象はいつまで続くようなモノなのでしょうか? 昨年購入したハモンセラーノではこのような現象は生じなかったのですが・・・


A ハモンセラーノ・レセルバに比べて、ハモンイベリコ・セボの生ハムは、より常温で溶けやすい脂の性質を持っております。特にイベリコの生ハムもベジョータになるほど、より常温で溶けます。脂が溶けやすいことは脂の質が高く、生ハムの肉質が良いことになり、美味しさにつながると思います。

生ハムを口に入れた際に、それが食感となって表れれ、食感がよりトロッとすることで、より美味しく感じることになります。この脂のでる現象は、基本的に脂がある限りずっと続きます。常温で溶けますので、より低い温度ですと溶けにくくなりますので、少し温度の低いところ(冷蔵庫以外で)におくことで、脂の出方が少なくなると思われます。

 

Q21 ハモンセラーノ・アウマード・スモーク30ヶ月熟成の生ハムについて質問です。この生ハムにとても興味があります。薄くスモークをかけている生ハムって、どんな料理(付け合わせ)に合うのでしょうか? ワインなどにも合わせやすいのでしょうか? スペインではどのように食べられていますか? 教えてください。


A カサルバのハモンセラーノ・アウマードは、ピンチョス向けの高級セラーノです。スペインでも珍しく、ブルゴスよりも北のバスク地方の高級バル・レストランで人気があります。バスクといえばピンチョスが有名ですが、様々な食材と合わせることで、ほんのりと燻しの香りがある生ハムは、ピンチョスに合い、魚等の生臭さも中和させてくれます。

スモークをかけられたサーモンは、生臭さを消して風味を醸し出しますが、アウマードもそういった一環として受け入れられているのだと思います。より赤ワインなどにもあわせやすくなっており、スコッチなどの蒸留酒にも良く合うと好評、根強いファンがいます。

 

Q22 パレタセラーノとハモンイベリコベジョータの柔らかさについて。昨年の年末に初めてパレタセラーノを生ハム生活セットで購入しました。そして今回は思い切ってベジョータの購入に踏み切ったのですが、前回の原木と比べ異常なまでに柔らかい感触に少し不安になっております。

ベジョータをハモネロに置いただけで金具に食い込んでいきますし、場所によっては指で穴が開けられそうなくらいブヨブヨしています。軽く押した跡がそのまま残るくらいです。腐敗臭は感じませんが生ハム原木のイメージと違い、生肉に分厚い保護脂が乗っているくらいの感じです。バビージャ側ですら指で押すとブヨブヨしています。このまま切り始めても大丈夫なのか? 中は腐っているのではないだろうか? と心配です。ご教示ください。


A お客様が前回お買い求めになられたパレタセラーノは白豚の生ハムです。白豚の生ハムも十分に熟成をかけて脂等が柔らかい性質の生ハムですが、常温で溶ける融点はイベリコ豚の生ハムと比べますと高く、脂の柔らさも落ちる物です。

反面、イベリコ豚の脂の融点は低く、特にベジョータになりますと、良質なオレイン酸を含むドングリを沢山食べ、脂の中にオレイン酸を多分に含む肉質であることから、今の時期の5月から9月にかけてはかなり柔らかい状態になります。 お買い求めになられたハモンイベリコベジョータは年間を通して、日本の飲食店様でもつかわれているもので脂の状態が非常に良いと言われている質の高い生ハムですのでご安心下さい。

スペインのボデガの中で温度が低い状態でも、この時期の熟成途中のハモンイベリコベジョータでさえ、脂がしたたり落ち、背脂などが柔らかくなり熟成完了時には背脂にしわが出来て、良質な脂のベジョータを見分ける一つの選択肢になるくらいです。 十数年前にギフエロにある生ハムメーカーに行った際に、そこの工場長が、うちのベジョータはどれだけ良い生ハムか?を自慢するために、ランプ側の背脂から手袋をした指をスウッと入るんだ、、、と自慢げに話をしていたくらいでした。 またその柔らかさの為に、指で押しますとそのまま凹むような柔らかさのものもあります。

ここのところ気温も上昇し室温も暖かくなってきていますので、生ハムの温度も全体的にあがり余計に柔らかくなっていると思われます。脂も溶けてハモネロの底板の上がびしょびしょになるくらいになると思われます。 また生ハムは40℃以上の温度でも乳酸菌などが活性化しますので、腐ることは無く、スペインなどは炎天下の軒下にぶら下がっている状態ですから、ご安心下さい。仮に腐っているとすればかなりの腐敗臭がします。

お客様がご心配になるのは無理も無い事だと思われますが、質の高いベジョータはこのように柔らかい状態です。 この生ハムの状態を変えるには、温度の低いところで管理するのが一番の方法と思われます。 また一つの検証としましては、原木から塊を200gぐらい切りとりまして、冷蔵庫に丸1日入れて冷やしこんでみます。そうすることで脂がある程度固まり、お客様のところに届いた状態に近い状態になると思われます。

ただ、お客様のところで常温で管理されたベジョータ生ハムは、常温により熟成が進んでいますので(悪くなっているわけではありません)あくまで近い状態になりますので、その状態でカットして食べてみて下さい。通常の生ハムのような歯ごたえに近くなると思われます。

また、それでも不安の際には、弊社に冷蔵便にて生ハムを送料お客様払いでお送り下さい。弊社の専門のものが脂を調べ脂と肉の部分を試食をして判別をさせて頂きます。生ハムに原因がある場合は、良品とお取り替えをし、往復の送料を弊社負担とさせていただきます。

 

Q23 今回購入したカサルバのハモンセラーノをカットしたところ、生ハムが乾いている感じがしています。甲側です。またちょっと筋っぽい気がするんだけどいかがな物でしょうか? 生ハムはあまり使ったことがなく、カサルバのハモンセラーノは初めて使ってみました。


A カサルバのハモンセラーノは、日本向けに30ヶ月熟成をかけてもらっています。味わいをより深いものにし熟成感を出すためです。そのため甲側(バビージャ側)の赤身の外側の一部が、一般のハモンセラーノよりも少々乾いているものもあると思われます。

次にその甲側が筋っぽいとのお話しですが、カサルバのハモンセラーノになる原料豚は9ヶ月以上飼育をした肉質の良い大きめの豚を使っており、その為にほんの少々筋が口に残りやすい部位もあると思いますが、切り進んでいくうちに乾きとともに無くなると思われます。

仮に硬い部位、又はカットが長引いて乾いている部位があったとしますと、少しカットして柔らかくなるとしましたら、そのまま生ハムメニューとして出さずに、硬い部位は他のメニューで使ってしまいしっとりとした部位を使うこともご検討下さい。切り進んでいってもそのままの状態の時はご連絡下さい。

 

Q24 イベリコ豚生ハムの産地についての質問です。日本でもスペイン国内でもハモンイベリコベジョータは、イベリコ豚の飼育の本場といわれるハヴーゴ産のものが上質で美味いと聞きますが、果たしていかがなものですか?

飼育の本場は、他にエストレマドゥーラ産等もあると思いますが、それらの産地と、ギフエロや御社のブルゴスやトレベレスなどと比べて、どちらの産地が良い物が多いのでしょうか?また一流メーカーといわれるものは価格も高いですが、やはり良い物なのでしょうか?



コルドバのデエサでの放牧風景。ここには良質なドングリとそれ以外の香草や茸などの食べ物があり、脂が乗った良質なベジョータが出荷されます。

A 仰るようにいろいろな産地が有り迷ってしまいますね。結論から先に書かせていただきますと、どちらとも言えませんし飼育や熟成の産地だけでは判断できません。

ハモンイベリコベジョータの善し悪しを決めるには

  1. 良質な原料豚
  2. 気候風土にあった熟成方法
  3. 生ハムメーカーの技術力と企業姿勢
  4. 良い生ハムの選別
  5. 良い輸入業者や問屋の選別
などが関わってきますが順ごとに説明させて頂きます。
  1. 良質な原料豚
    イベリコ豚の飼育地についてですが、北部からエストレマドゥーラ、バダホス、ハブーゴ、ウェルバ、そして東に行ってコルドバがあります。 それぞれの周辺地域がイベリコ豚のベジョータのデエサ(ドングリ森の放牧地)があります。

    地域の特性として、エストレマドゥーラ、バダホス、ハブーゴ、ウェルバなどのポルトガルとの国境に近い地域になりますと、ドングリでもコルク樫(アルコールノーケ)の割合が増えてきます。ドングリにはその他、セイヨウヒイラギ樫(エンシーナ)などがありますが、コルク樫は独自の苦みのような渋みのある味です。

    エンシーナは柔らかで少し甘みのある味わいで、豚はエンシーナを好んで食べますが、それがなくなる時期になりますと、コルク樫のドングリを食べます。地域では、ハブーゴはコルク樫の割合が50%ぐらいあり、飼育者も意図的にそれを食べさせて肉の特徴を出しています。コルク樫を食べた独特の肉の風味を、温暖な気候で熟成をかけ濃厚で独特の風味のあるベジョータ生ハムに仕上げています。

    一方、コルドバ周辺のデエサの殆どがエンシーナ(セイヨウヒイラギ樫)を食べたイベリコ豚になりある程度素直な味わいで甘みのある生ハムになります。余談ですが、ギフエロの生ハムはコクと甘みと酸味が同居したバランスの取れた味わいがあります。

    イベリコ豚の上質さの度合いは、デエサで豚が食べる草や木の根や茸など地上に生える物と、どれだけ良質なドングリを豊富に食べていたのか? そしてどのくらいの放牧期間、適度な運動による筋繊維の発達が大きく関わってきます。またドングリにとっても豊作な年と不作な年、同じ年によっても豊作な地方と不作な地方などもあり、その中で、より肉質の良い原料豚を毎年仕入れることが生ハム業者の課題になってくるわけです。

    後述になりますが、DOの網掛けがある生産者は近辺の地域からしか探すことが出来ませんが、DOに関係ない生産者はスペイン全土からより良い豚を探すこともできるわけです。この辺はメーカーの原料豚に対する調達力と考え方によって変わってきます。

     
  2. 気候風土にあった熟成方法
    ハブーゴ等の比較的温暖な地域は、肉を早く乾燥するため塩漬けは強く熟成期間はやや短めが多いです。冷涼な地域は、薄塩の塩漬けが可能になり熟成はゆっくりと進行することから長期熟成が可能です。冷涼な地域の長期熟成の生ハムは、ハブーゴのようなパンチはありませんが、深みのある味わいになります。

    ハムの大きさは、温暖な地域は熟成が早く進行することから小さめであり、冷涼な地域は大きめのものが比較的多くなります。ただ、これは一般論であり生ハムメーカーの経営に対する考え方からも大いに変わってくるところです。なぜなら熟成が短ければ早くお金になり、長ければなかなかお金にならないからです。そのリスクをとっても長い熟成をかける生ハムメーカーにはある程度高級志向があると思います。
    イベリコ豚生ハムの原産地呼称(D.O)地域としてはギフエロ、エストレマドゥーラ、ウェルバ、ロス・ペドロチェスになります。ちなみにハモン・セラーノの原産地呼称(D.O)は、トレベレスとテルエルになります。ギフエロなどは、他のDOに比べて冷涼な地域になりますし、弊社取り引きのブルゴスなどはもっと冷涼な気候になります。

    1. と2. のことから良質な生ハムをつくるには、産地よりも産地に適した熟成方法を用いて良質なものを熟成することが必要です。

     
  3. 生ハムメーカーの技術力と企業姿勢
    良質な原料豚の仕入れや、その気候風土に合った生ハムをつくる技術力がどの企業目的に成り立っているか?云い方を変えますとスーパーや量販店向けの大量生産型が企業目的か? ミシュラン三つ星レストランのような高級生ハムの少量生産型が目的か?企業姿勢によって変わってくるところです。


    弊社は何十回も現地のメーカーを訪問していますが、訪問先を間違えたと思ったことがありましたので、一つだけお話しを… 

    スペインには一流メーカーと言われる生ハムメーカーや、経営状態がよい大きなメーカーや大量生産型のメーカー、少量生産型などいろいろあります。我々は少なくとも社長自らが生ハム職人で、自社の生ハムがどんなに手間暇かけて美味しい生ハムになっているか? 社長が熱く語るような生ハムメーカーと取り引きしたいと思っています。少なくとも「カサルバ」と「フビレス」はそんなメーカーです。またスタッフが生ハム職人の会社の場合、その職人が代わることで生ハムの質自体が変わってきてしまうこともあるので、弊社は少量生産のメーカーと取り引きをしています。

     
  4. 良い生ハムの選別
    良い生ハムの選別は非常に重要です。上記のようなスーパーマーケット向けでは無く、高級レストラン向けの生ハムを製造している生ハムメーカーでは良質な生ハムを生産していますが、その中には良質なものばかりではなく、質の落ちる生ハムもあります。その中から良質な生ハムを選んで日本に輸入をすることは、相手の生ハムメーカーが大きければ大きいほど数多いお客さんと取り引きをしていますから、より優先ををされなければよい生ハムの輸入は困難になります。

    11ページの「生ハムグルメこぼれ話3」でも紹介をしていますが、スペイン国内の飲食店のなかでも自ら生ハムメーカーのボデガに行き生ハムを選別して仕入れをしている現状があり、良質な生ハムは先に先に売れてしまいます。残った生ハムから、良質なものを選び輸入をすることも困難なことです。

    スペイン国内でも有名メーカーの生ハムを良く口にしますが、同じメーカーの生ハムでも店によりかなり差があります。ましてや遠く離れた日本の業者が良質なものを仕入れるにはそのメーカーとの信頼関係や、仕入れる側の目利きや技術力なども問われることになります。

    そして有名メーカーのものが日本にあるからと言って、その生ハムの質が良いとは限りません。

     
  5. 良い輸入業者や問屋の選別
    こちらも重要です。上記の生ハムメーカーからの仕入れに関しても技術力や器量を問われるのですが、大量に仕入れた生ハムはその殆どが港の冷蔵倉庫(保税倉庫)に入れそこで検査を受け通関が切れます。

    殆どの輸入業者は、その倉庫から日本国内の取引先に発送されます。倉庫の人たちは生ハムの肉質についてはわからなく、生ハムの品質とは無差別に発送されます。

    たとえ何百本、何千本と良い物を輸入したとしてもその中には全く質のちがった生ハムが存在します。柔らかいものや硬いもの、脂が厚いものや薄いもの、丸っこいものやスリムなもの、大きいものや小さいもの、ロットの違うもの、屠殺日の違うものなど千差万別です。それらをお客さん別に選んで出荷することが出来るのか?無差別に出すのか?では、その生ハムの1本1本が違うばかりか、業者の思いがあるかどうか?大きく違います。

このように上記のことだけでも、生ハムの善し悪しを選ぶ基準はいっぱいあり、まだまだ書き切れないこともありますが、機会がありましたら、その一つ一つを具体的に書かせて頂きます。

 

「生ハム全般に関するのQ&A」もご覧ください>>>

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