手順は簡単で味はシンプル。それだけにお肉の存在感がクローズアップされるステーキを、ラムのランプで。
フライパンで焼くだけだから、サーブしたときには「なんか茶色…」なお料理です。
けれどお皿の上でナイフとフォークで切り分けて、口に運ぶとき目に入るのは、食欲そそるあでやかピンク。
火を通したお肉の色は種類によって様々で、イベリコ豚の桃の花のような甘やかピンクも、鹿のガーネットやルビーのような宝石深紅も素敵ですが、ラムの濃ピンクも目においしい。
500gくらいの塊なので、オーブンでローストするとふっくら柔らかく仕上がります。
が、しっかり系の肉質をそのまま楽しむステーキも、個人的にはとても好き。
脂分が少ないためラム特有のフレーバーは、クセ好きな私には少し物足りないくらい控えめなのですが、噛むという行為によって香りが口腔に広がります。
このステーキのポイントは、厚めに切ること。500gを4枚に切り分けました。
そして切り分けたお肉を元通りにする形で合わせ、まずは脂のある面に焼き色を付けます。
それからお肉を1枚ずつ寝かせて表と裏。さらに脂のない側面にも焼き色を。
つまり、両面と側面(=2面+4面)のすべてを焼き付け、薄いけれどしっかりした焼き壁を作ります。
あとは火を消して蓋をし、余熱でじんわり仕上げたところ、あでやかピンクにできあがりました。
ソースはお好みでいいと思うのですが、今回はオーソドックスな手順のフォンとお酒のソースに、マスタードシードのアップルビネガー漬けで風味を加えたもの。
アップルビネガー漬けは市販品ですが、蜂蜜がたっぷり入り“モロミ”を思わせる甘い香りで、ラムのフレーバーを引き立ててくれました。
◎作り方
【お肉を焼く】
・解凍したお肉の、脂の上の膜、ほか目立つ膜があれば取り除く。
・厚めに切り分け、室温に戻しておく。
・塩(燻製塩を使用)とコショウを振り、手で押しつけるようにしてから、バターとオイルを同量ずつ入れたフライパンで焼く。オイルは好みの風味のものでよいが、今回は主張の強くないグレープシードオイルを使用。
・脂のある面を焼いてから、表と裏、側面を焼き、まだちょっと早いかなというときに火を止める。蓋をして余熱で好みの加減に火を通す。
【ソースを作る】
・別の小鍋で、エシャロットとニンニクのごく細かいみじん切りを、バターで炒める。フォンドヴォーを加えて煮詰める。
・フライパンのお肉をお皿に移す。好みのお酒(今回はマルサラ酒を使用)をフライパンに加え、木へらなどで底を洗うようにしながら煮詰める。煮詰まったものを、茶漉しなどで漉しながら小鍋に移す。
・塩コショウの他、好みの調味料(今回はマスタードシードのアップルビネガー漬け)で調味。
【サーブ】
・お皿にお肉を移し、ソースをかけて供す。