鹿肉を使った代表料理に、『グラン・ヴヌール』というものがあります。
国王が狩りをする際の狩猟頭という意味だったかな。
今回は、鹿のすね肉を使ってグランヴヌールを作ってみました。
すね肉ということで、煮込みが適していると思います。
Ⅰ材料の下処理をする
①鹿すね肉の太いアキレス腱、被膜を取り除く。
②鹿肉を4~5cm角に切り、糸で縛る。
③玉葱100g、人参80gを薄切りにする。
※あれば、セロリも薄切りにする。
④ニンニクの皮を剥いて中の芽を取出し、包丁の側面で叩き潰す。
Ⅱ煮込み
①フライパンを温めてオリーブ油を流し、すね肉の表面を強めの火で焼き固める。
②赤ワイン150ml、ポートワイン150mlを加え、強火で沸騰させてアルコールを飛ばす。
③アルコールが飛べば、中火で灰汁を取り除きながらワインが50ml程度になるまで煮詰める。
※途中で鹿肉の向きを変え、全体的に色づける。
④圧力鍋に、玉葱、人参、ニンニクを入れ、弱火でしっかりと炒める。
⑤③のワインが煮詰まれば、④の圧力鍋の中に煮詰めたワインと共に鹿肉を加える。
⑥フォン・ド・ヴォー200ml、フォン・ド・ヴォライユ200ml、トマトソース50ml、十分に浸かる程度の水、ブーケ・ガルニを加えて強火にかける。
⑦沸騰すれば灰汁を取り除き、ブーケ・ガルニを加えて15分加圧する。
※圧力鍋を使わない場合は、2時間ぐらい煮込む。
⑧加圧して圧が下がれば、鹿肉を取出す。
⑨黒コショウ3~4粒をラップで包んで鍋で押さえ、こしょうをつぶす。
⑩⑧の鍋に⑨のこしょう、塩を加え、中火で液体が200ml程度になるまで煮詰める。
⑪生クリーム50mlを少し加えて少し煮詰め、煮汁を漉して鹿肉と共に冷まして冷蔵庫で1晩、寝かす。
※寝かした方が味が落ち着く。
Ⅲ仕上げる
①煮込みを鍋で温め、鹿肉が十分に温まれば取り出す。
②塩、こしょうでソースの味を整え、水溶きのコーンスターチを加えてソースに濃度を付ける。
③火を止めてイチゴピュレを加え、良く混ぜてソースを仕上げる。
④お皿に鹿肉を盛り付けてソースを流し、仕上げる。
鹿すね肉の煮込み グラン・ヴヌール風
本来は仕上げに材料の肉の血(今回は鹿肉)を使います。
豚の血や脂肪分の高い生クリームを使ったりすることもあるけど、そこまでしての必要性を感じないし・・・
あと、イチゴピュレじゃなくてグロゼイユのジャムを使うけど、イチゴシーズンということもあり、冷凍庫に眠っていたイチゴピュレを使いました。
イチゴピュレじゃなくて、カシスやブルーベリーのジャムでも良いんじゃないかな。
クラシックなスタイルとは違うけど、クラシックはあくまでも過去の礎。
料理は時代と共に進化するものだと思っています。
なので、私の感性を加えたグラン・ヴヌールを作ってみました。
冬だし、ジビエの王道!って感じで頂いた鹿肉料理。
寒い季節には、鹿の煮込みは美味しいです。
ほぐれた繊維から感じる鹿肉の力強さ、甘酸っぱいイチゴのピュレが加わったソース、寒い冬の夜を堪能する至福のディナータイムになりました。
私はあんまりワインの香りを強くさせたくないので最初に漬け込みを行っていませんが、好みで香味野菜とワインで鹿肉を漬けてから調理しても良いと思います。
というか、ポピュラーというか、伝統的なやり方だと、漬け込んで肉を柔らかくするってのが定番だけど(笑)
価格も求めやすいし、我が家の定番アイテムにしようかな。