トリッパ定番のトマト煮です。温かいものをペンネにかけて夕ごはん。
	残りを冷蔵庫に入れておけば、ゼリー状に煮凝ります。冷製のまま、パンやポテトとともに翌日のランチに。
	トリッパのおいしさはその独特の食感にあり、温かいものは弾力が、冷たいものは歯切れのよさが引き立ちます。
	
	トリッパ自体は味が滲みるものではありませんが、ハチノスという呼称がぴったりのヒダヒダに、ソースがとてもよく絡みます。
	だからトマトソースの味に変化をつければ、全体のテイストも変化。
	タマネギ・ニンジン・セロリ・ニンニク等、定番の香味野菜だけでも充分おいしいですが、ヒヨコ豆や白いんげん豆を入れたり、あるいは黒オリーブを入れたりすれば、また違った趣き。
	今回入れたのは、肉厚の赤パプリカを5ミリ角に刻んだもので、素晴らしくよく合いました。トリッパのトマト煮の洗練バージョンとも言うべき、爽やかさと大人っぽさが加わります。
	
	嫌な臭みもなく網目も整った、とてもきれいなトリッパでした。
	けれど内臓の煮込みは、手間と時間がかかるもの。
	そういうお料理がしたくなるのは、むしろ忙しいときや、心身にマイナス要素を抱えているときが多いです。
	3時間近くかけて“おいしいもの”を作る。そのこと自体に、心身をニュートラルにする作用がある気がします。
	もちろん“おいしいもの”を食べれば、心身状態はニュートラルからプラスへと移行。
	
	私事ですが仕事は演劇関係で、困難の多い時期です。
	腹を満たすのみならず心を満たす食が、支えてくれるものの大きさを感じています。
	 
	
	◎作り方
	【トリッパの下処理】
	・トリッパは流水でよく洗い、ナイフを入れて袋状になっているのを開き、短辺が4〜5センチの長方形に切る。(細く切るのはあとから。ここでは鍋に入れやすい大きさにすればOK)。
	・大きめの鍋で水から茹で、沸騰したら茹でこぼして再度洗う。鍋も洗う。
	・鍋にもう一度水を入れてトリッパを茹でる。沸騰して3〜4分煮たら、茹でこぼしてもう一度洗う。鍋も洗う。
	
	【下茹で】
	・鍋に水と白ワインを入れ、タマネギ、ニンジン、セロリの葉、ロリエ、タイムなど好みの香味野菜やハーブとともに、トリッパを茹でる。好みによっては白ワインではなくワインビネガーでもよい。ここで使う野菜は食べないので、切れ端や芯などを積極的に利用。
	・時々様子を見て、アクが出ていたら取る。
	・トリッパの表面に艶が出てきたら、端を切って食感を確認。トマトソースで煮込むことを考え、好みよりやや固めで火を止める。茹で時間はお鍋によってかなり異なり、以前は2時間ほどでしたが、蓋の重い多層鍋に変えてからは1時間弱。
	
	【トマトソースを作る】
	・下茹でをしている間に、煮込み用のトマトソースを作る。
	・タマネギ・ニンジンは粗みじん切り、セロリはマッチ棒状に、赤ピーマンは小さめの角切り、ニンニクはみじん切り。
	・オリーブオイルでタマネギを炒め、他の野菜を加えてさっと炒める。蓋をしてごく弱火で5分ほど蒸し、野菜の甘みを引き出す。
	・ホールトマトを手で潰しながら加える。トリッパ1パックに対してホールトマトは1缶半くらい。
	・沸騰したら、白ワインとスープ(水+スープキューブでOK)と好みのハーブを加え、再度沸騰したら塩コショウ。
	
	【煮込む】
	・下茹でしたトリッパを5ミリ幅くらいに刻み、トマトソースの中で、好みのかたさの一歩手前くらいまで煮込む。30分〜1時間。
	・塩コショウで調味。フレッシュな感じにしたければ皮と種を取って細かく刻んだ生のトマト、甘みがほしければヴィンコット、甘みと酸味がほしければバルサミコを煮詰めたものを入れてもよい。
	・もし時間があれば、できあがってから一度冷ますと味が馴染む。
	
	【サーブ】
	・温製はパスタにかけ、カイエンペッパーやパルミジャーノ、パセリなどを振ります。
	・冷製はパンに添えて。好みによっては、オレガノやバジルなどを多めに混ぜてもおいしいです。