![]() | ラム骨付きシャンク(スネ肉)【煮込みで格段の美味さ】
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投稿者:![]() ![]() 投稿日付:2016/10/21 17:10 | ||
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骨付きの羊肉の塊を、モンゴル風に塩だけで茹でて食べてみたいと思っていました。この骨付きラムシャンクはボリューム的に夫婦二人でモンゴル料理を試してみるのにちょうど良さそうな部位だと思い、先日思い切って作ってみました。
モンゴル風羊の塩茹で (チャンサン・マハ)
頂くときには、ナイフで肉を削り取りながら食べていくようです。
感想: 遊牧生活を続けるモンゴル人は、羊を茹でるときには本当に塩しか使わないようです。香味野菜も胡椒もなにも入れないでただ茹でただけの肉、というのは最初ちょっと不安に思っていたのですが、よく考えたら美味しい生ハムも、牛肉のステーキも、炭火で炙る地鶏の焼き鳥も、良い肉を素材にした料理には塩しか使われていないと気づきました。 実際に切り取ったお肉をいただいてみると、茹でていた時に立ち上ったラムの強い香りとは対照的に、口に入れた肉にはほとんど羊の匂いは感じられません。匂いの成分はほとんど水に溶け出してしまったのでしょう。 あちらの流儀ではフォークを使わず、ナイフだけで肉を解体して口に入れていくと聞いていましたが、実際のところ2時間も茹でれば子羊の肉などはしっかりと柔らかくなっており、ナイフを入れれば素直に筋繊維の塊ごとにほぐれていきました。適度な塩分と、じっくり火を通した故に溶けだしたゼラチン質がもたらすねっとりしっとりとした肉の食感は、出来立てのコンビーフを彷彿とさせ、塩漬け熟成された肉を頂いているように旨味が凝縮されていました。骨付きのお肉を使うことで、骨や髄からの旨味も加熱中に肉に浸透していくようです。とろりとした髄も、骨からすすっていただきました。 日本のモンゴル料理屋ではタレなどと一緒に供されるらしいと聞いたこの茹で羊ですが、特に味に飽きるということもなく、あっという間に完食してしまいました。焼いた(炙った)肉の香ばしさも、野菜や香辛料がもたらす香りや味も、本当に肉の味を堪能するためには余計な飾りの一つにすぎず、塩だけだからこそしっかりと肉の味に集中できるのだと感じられます。おかげで、ラムシャンクは非常に新鮮で良質なお肉だと改めて実感できました。 茹で汁にはもちろん羊の旨味がたっぷりと溶け込んでいますから、翌日に野菜とお豆を沢山入れ、トマトとアウマードスイートパプリカも投入してグラーシュ風のスープにしました。元の茹で汁は塩辛いので、それを中和すべくかなりの野菜が投入され、大鍋いっぱいのスープが出来上がりました。こちらは2日に亘って堪能しました。 ラム肉の匂いが苦手な方も、このモンゴル風茹でラムはぜひ試していただきたいと思います。ラムに対する概念が変わります。シンプルで素朴な調理法に思えますが、この調理ステップ(塩分濃度を変えていく、火加減の調節等)には、羊肉を知り尽くしているモンゴル人の知恵が詰まっている気がします。 ![]() ただひたすら塩水で茹でます ![]() 茹で上がり ![]() おいしそうな断面 ![]() 翌日のスープ | ||
商品の評価:★★★★★ | ||
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