かつてスペインでは、「ワインのない一日は太陽のない一日」であるといわれていたほど、スペイン人の生活においてワインはなくてはならない必要不可欠な存在であったといいます。
あっさりとした味わいで滋養分に富み、気分を浮き立たせてくれるワインは、食事と一緒に楽しむことで消化を助け、食欲を増進してくれる飲み物として、はるか昔から現在まで人々に親しまれてきました。
事実、スペインのほとんどの家庭で、ワインは毎日のように飲まれています。スペインでは国土全域にわたってワインが豊富に流通しているため、スペイン人の多くは食事のたびにワインを楽しんでいるのだそうです。
このように日常的に飲まれるワインは、ほとんどの場合、前年収穫された早飲みタイプのワインですが、味わいは本物でおいしいワインであることが多いです。日常用のワインはリットル瓶にプラスチックやコルクで栓をした状態で売られている安価なものですが、製造元の保証書でもあるラベルはもちろん付いています。
スペインワインは日常的に飲まれるだけではなく、特別な場でも当然飲まれます。 特別な場での食事に合わせる飲み物として、ステンレスの容器やオーク材の樽で長期熟成された良質なワインが選ばれます。
ワインは食事に合わせて選ばれるだけではなく、飲まれる季節や時刻、場所、飲む人の好みなども考慮して決定されます。
スペインの食事といえば、パエーリャやイベリコ豚、ガスパチョなどの料理が有名ですが、もちろんこれらの料理にもワインは欠かすことのできない存在となっています。
スペイン料理の知名度が増すにつれて、日本においてもスペイン風のバーである「バル」の人気が高まっており、スペイン人のようにワインを飲みながらスペイン料理を楽しむ人が増えています。
バルに欠かせないおつまみである「タバス」には、生ハム、サラミ、イワシの酢づけ、スペイン風オムレツ、オリーブなどがあります。
スペイン料理はどれも日本人の味覚にマッチするものばかりなので、ワインと一緒に味わうことで気軽にスペイン文化に触れることができます。
現在、スペインでは、スペイン各地の料理に新しい素材を取り入れたり、新しい調理法で独創的にアレンジしたりしたものが流行しており、その新しいスペイン料理とスペインワインとの相性の良さは世界的にも大きな注目を浴びています。
※以下からはスペインワインの産地と絡めて紹介していきます。スペインの魅力はスペイン料理とスペインワインだけではありません。スペインには、観光名所として一度は訪れてみたい場所がたくさんあります。
世界遺産に登録されている観光名所はもちろん、数多くの美術館や博物館、フラメンコや闘牛の見学、サッカー観戦など、スペインは観光やエンターテイメントの宝庫なのです。

サグラダファミリア
スペインが誇る観光名所として世界遺産にも登録されている代表的なものに、建築家アントニオ・ガウディの建築物があります。ガウディの作品数々はバルセロナにあり、そのすべてが世界遺産に登録されています。中でも特に有名な建造物はサグラダファミリアではないでしょうか。
サグラダファミリアは、1800年代から現在もなお建築中の大教会です。繊細な彫刻でキリスト教の壮大な世界観を表現した「生誕の門」と「受難の門」。
教会特有の厳格な雰囲気を和らげるために、色彩豊かなステンドグラスや白い柱を用いて森のようにイメージされた大聖堂。
ガラスやモザイクで細やかに装飾された高い塔。
サグラダファミリア建築の歴史がすべて分かるガウディ博物館。
スペインに訪れたら一度は見ておきたい観光名所となっています。
スペインには他にも訪れておきたい世界遺産が数多くあります。
登録されている世界遺産の数は41と、イタリアに次いで2番目に多いスペインですが、中でも見落としたくない世界遺産をいくつかピックアップしてみたいと思います。
一つめは、カタルーニャ音楽堂。
建築家アントニオ・ガウディと肩を並べる建築家であるドメネク・イ・モンタネールが建築したコンサートホールです。
たくさんの彫刻やタイルで埋め尽くされた建築物は、外装、内装ともにインパクトがあり、観る者を圧巻します。
二つめは、アンダルシア地方のグラナダにあるアルハンブラ宮殿です。
最後のイスラム王朝となった頃に、首都として栄えたグラナダのシンボル的存在です。

トレド市街
三つめは、町全体が世界遺産に登録されているトレドという古都です。
歴史を感じる町並みと入り組んだ居住区、そしてその町と青い空が織り成すコントラストは、人々を魅了する絶景として多くの観光客に人気の高いスポットです。
そのほかにも世界遺産に登録されている古都や地区が数多くあり、時間の許す限り周ってみたいところです。
それから、スペインの観光に欠かせない場所として、数多くの美術館が挙げられます。
マドリッドにある世界3大美術館の一つ、プラド美術館には約8000点もの絵画が収められています。
美術館は3階建てと広大で、日本の美術館とは比べものにならないほど至近距離で絵画を見ることができます。
そして、スペインといえばやっぱりフラメンコと闘牛、サッカーでしょう。
フラメンコは、日本においてもメジャーなダンスとして、今や習い事にもなっているほど人気の高いものです。
フラメンコの魅力は情熱的なダンスだけではありません。
歌あり、ギターありのショーはどれをとっても見るものを釘付けにします。
フラメンコの本場は、スペイン南部のアンダルシア地方にあるセビーリャやグラナダですが、バルセロナやマドリッドでも鑑賞できるので、スペインを訪れたら一度目にしておくべきエンターテイメントです。
もう一つのエンターテイメントである闘牛も、スペインのイメージとは切っても切り離せないものです。
衝撃的で迫力のある闘牛は、スペインの伝統文化を生で感じるためにも一度は鑑賞しておきたいものです。
それから、近年、スペイン観光の要として外せないほど人気の高いエンターテイメントは、何と言っても世界最高峰を誇るサッカーリーグです。世界的にも有名なサッカーチームが多数存在するスペインリーグ。
サッカーの本場の雰囲気をぜひスタジアムで味わってみたいものです。
素晴らしい観光地をめぐりながらその地方ならではのワインを楽しむ。
こんな贅沢な楽しみ方ができるのがスペインなのです。
|