古くから人々に親しまれてきたワインは、長い年月の間にさまざまな醸造方法が試行錯誤され、進化し続けてきました。
ここでは、さまざまな工夫を凝らして開発された、特殊なワインのつくり方をご紹介したいと思います。
まずはじめは、フランスの高級ワインとして名高い、ボジョレー・ヌーボーの醸造方法です。
通常、収穫されて選定が終わった葡萄は、除梗機で葡萄の軸を取り除かれた後に破砕して発酵槽に送られます。
しかし、マセラシオン・カルボニック法というボジョレー・ヌーボーの醸造方法では、葡萄を潰さずに、密閉されたステンレスタンクにどんどん詰め込んでいきます。
タンクが満杯になると、タンクの下にある葡萄が上に詰め込まれた葡萄の重さで自然に潰れ、果汁が流れ出して発酵し始めます。
発酵が始まると炭酸ガスが発生するため、密閉されたタンクの中は炭酸ガスで充満していきます。
発生した炭酸ガスの効果で、まだ潰れていない葡萄も次第に分解されていきます。
こうして、渋みや苦みの少ない、フレッシュでフルーティな早飲みタイプのボジョレー・ヌーボーが出来上がります。
次に、フランスのミュスカデに代表される、シュール・リー法と呼ばれる醸造方法です。
シュール・リー法は、基本的には白ワインの醸造方法と同じですが、圧搾で取り出されたフリーラン・ジュースのみを使って発酵させます。
発酵が終了した後も澱抜きをしないで、ワインが空気に触れることのないようにタンクを満杯にしたまま熟成させます。
このとき、澱となって沈殿した酵母が自己消化を始め、たんぱく質や脂肪分などが少しずつワインに溶け出して旨みと厚みが加わります。
その後は、空気に触れないように低温無菌状態で瓶詰めされます。
さいごに、ゴヴェルノ法と呼ばれる、イタリアの赤ワインを代表するキャンティの醸造方法です。
黒葡萄のサンジョヴェーゼ種を主原料にした赤ワインを発酵させ、その発酵が終了する直前に白葡萄のトレビアーノ種などを潰した果汁を加えて連続的に発酵させます。
これによって、渋みによるコクと酸味によるフレッシュさがさらに増して、まろやかな味わいになります。
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