ワインボトルの栓には、一般的にコルクが使われています。
コルクは、スペインやポルトガル、イタリアなどに自生する、コルク樫の樹皮を原料にしてつくられます。
コルクがワインボトルの栓として利用されてきたのは、コルクが持つ弾力性と復元力が、ワインボトルを密閉させるのに抜群に優れた素材であるという理由からです。
コルクは、ワインボトルの密閉力を高めるだけではなく、ワインの保存状態を推定するのにも役に立ちます。
ワインを良い状態に保つためには、ワインに適切な温度と湿度を保つことのできる場所に保管しなければなりません。
ワインの保管に適している温度と湿度は、10℃から15℃、60%から70%と言われているので、その保管環境の下では、どうしてもコルクにカビが発生してしまう場合があります。
抜栓したコルクの上にカビが生えている場合、保管状態が悪かったのではないかと不安に思ってしまう方も多いかもしれません。
しかし、実際はその逆で、コルクにカビが生えていたら、それはワインが十分な湿度のある良い環境で保管されていたという証拠になります。
コルクに発生したカビが、ワインの味や品質に影響することは非常に稀なことなので、必要以上に心配することはありません。
酒石と呼ばれる、コルクの液面に付着した結晶も、カリウムというミネラル分が結晶化したもので、良質なワインである証拠です。
コルクやキャップシールが変形していたり、抜栓したときにコルクがゆるんでいたりする場合は、ワインが劣化している可能性が高いと考えられます。
保存状態の他にも抜栓したコルクから分かることがいくつかあります。
それはワインの品質で、コルクに刻印がなされているものは高級ワインであることが言えます。
それから、コルクの長さが長いほどワインボトルの密閉性が高まるので、熟成期間の長い高級ワインには長いコルクが使われることが多いです。
密閉力の高いコルクですが、カビやコルク臭が発生しやすいという欠点もあります。
コルクの価格も上がっているため、最近ではコルクの代わりにプラスチックの栓もよく出回るようになりました。
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