「良いワインは良い葡萄から」と言われるように、良質なワインをつくるには、原料となる葡萄も良質なものでなければなりません。
どれほど醸造技術が進歩しても、良質なワインをつくるのは良質な葡萄だけなのです。
そのため、葡萄づくりはワインの生命とも言うことができます。
葡萄は、人類が誕生する以前から自生していたと言われており、実に何万もの品種が存在します。
しかし、葡萄の品種すべてがワインの原料として適しているわけではなく、ワインづくりに適している品種は大体50種類程度です。 そしてそのほとんどが、ヨーロッパ系の品種になります。
ごく一部に生食用に使われる品種もありますが、ほとんどの品種が一般に生食用の品種よりも粒が小さくて酸味と甘みが強く、ワイン用の葡萄として栽培されています。
ワイン用の品種は、酸味があって糖度も高いので、生食用としてそのまま食べてもおいしいものが多いのですが、果皮が厚くて実がはがれにくいため食べにくいという欠点があります。
これに対して、デラウエアやナイアガラなどのアメリカ系の品種は、実ばなれも種ばなれも良く食べやすいため、生食用の葡萄として栽培されています。
生食用の葡萄でもワイン用に使われる場合もありますが、酸味が少なく独特の香りがあるため、良質のワインをつくることはできません。
ワインを醸造するには、まず葡萄の収穫を行わなければなりません。
葡萄の収穫は、葡萄の生産者と醸造所にとって最大のイベントと言えます。
それはただ単に収穫の喜びを得るということだけではなく、葡萄の出来不出来がその年のワインの味や品質を左右するという大事な意味を持っているからです。
葡萄の収穫は糖度が14度から26度ぐらいになったところで、手摘みか機械を使って行われます。
時期で言うと、9月から11月にかけての頃になります。
収穫時期はワインの味を決定する重要な要素で、糖度が高いというだけでは酸味とのバランスが悪いものになってしまうので、糖度と酸味のバランスをみて収穫時期を調整します。
良質なワインをつくるには良質な葡萄を収穫することが絶対条件であり、春に芽吹いてから秋に収穫されるまでの生育期間と、収穫されてから来年の春までの休眠期間のサイクルを通じて、どれほど生産者に手をかけられたかが重要になってくるのです。
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