カテゴリー
生ハム・料理レシピ 生ハム/エンブティード

スペイン・ラマンチャ地方の『伝統的お手軽タパス』はおすすめメニュー

ドン・キホーテと聞いて、総合ディスカウントストアではなく、騎士道物語を思い出す人は、かなりのスペイン通または読書家。

今回は、その物語の中でも紹介される、スペインラマンチャの郷土料理『Duelos y quebrantos(ドゥエロス・イ・ケブラントス/決戦と苦悩)』を紹介します。名前の由来は諸説ありますが、昔、戦いに引き連れ命を落とした馬、牛、ロバなどの脳みそや脂身を食べたという説が有力です。この料理は、カトリック規律で、肉や卵を摂取できる小斎の土曜日に食べていたそうで、物語の中にもその記述が残されています。

決戦は土曜日

現在は高カロリーを避けるためか、チョリソ、三枚肉のベーコンをとき卵でとじ、塩コショウするレシピが主流で、ご家庭でも、バルメニューにも使えるお手軽な一品料理として継承されています。肉のうまみがフワフワの卵と調和し、こってりしていそうなのに嫌みのない、まさにお代わりしたくなる美味しさ。

裏ワザとして、ベーコンの代わりに卵と相性抜群のパンセタ(パンチェタ)を使うとさらにGood!加熱してトロ~ッと脂が溶けだしたパンセタと、半熟卵のマリアージュは絶品です。ワインは白、赤どちらに合わせてもおいしく頂けます。“決戦は土曜日”、日替わりのお薦めメニュにピッタリです!

(Mayumi)

カテゴリー
■トレベレス・生ハム 生ハム/エンブティード

冬場って生ハムが乾きやすいけど…

生ハムの輸入販売を行って、かれこれ10年近くになりますが、秋以降になりますと一般の方々からも次々と生ハムの注文が増えてきます。急に冷え込んできますと、我が社も生ハムの季節到来ということで、一気に出荷が増えていきます。

スペインに行きますと、40℃近い炎天下の軒下にも生ハムがぶら下がっていたり、カルフールなどの大型スーパーでも、真夏の時期でも、裸のままの生ハムがずら?っと、壁のように両サイドから十数メートルぐらい続いていて壮観です!が、やはりクリスマスシーズンになりますと、通常切り売りを購入していた一般のお客さんも骨付きの原木を購入したりと、一気に雰囲気が高まるのがこのシーズンですね。

日本の場合には、特に忘年会からクリスマス、そして年末年始とグルメ行事!目白押しですから、この時期に一般の方々も、自宅やお店で生ハムを食べる機会が多くなってきます。そして生ハムを開封しますと意外にわかることが、「日本の冬は乾燥しているな?」と言うことです。そしてそして我々販売者が体感しているというか、感じていることは、一般のお客様は生ハムを3ヶ月から6ヶ月で食べる方が多いのですが、中には1年もの間かけて食べられる方もいらっしゃいますが、不思議と「生ハムが乾燥していてそれを防ぐ手立てはないか?」とあまり聞かれないことです。

生ハム生活の手引き書にも色々書いてあるのですが、乾燥を防ぐというよりも、乾燥したハムをいかに美味しく食べるか?が書いてあります。意外と、プロの方々が乾燥を嫌うと言いますか、神経質になっておられると思います。でもこのことって当然ですよね?、お客さんに美味しく食べてもらいたいと思っているわけですからね。「生ハムを柔らかいうちに出すにはどうしたら良いのか?」 一番の解決策が「乾かないうちに出す!」ということにつきます。

DSC_3455_2

フビレスの生ハムを使っている、ムルシアのバルがありますが、1日に多いときで7本!、少ないときでも3本生ハムを使うといいます。開店は朝6時で、閉店は0時。生ハム1人前120g、1本で40人前ぐらい取れますから、日本式に生ハムをラーメンにたとえますと、1日120玉から280玉の麺を消化する繁盛店といったところでしょうか。

DSC_3481

ただこちらのバルは、生ハムを原木でも、シュゼットのようにうす?く、さっさっさっとスライスをして、花びらのように積み重ねていきます。それが何とも美しく美味しいんですが、このお店はこんなに1日に生ハムが出るのに、生ハムを使った他のメニューが数多くあったと思います。

で、お伝えしたかったことと言えば、生ハムを早く回転させて乾かないようにするには、生ハムの切り方も大切だけれども、生ハムとサラミの盛り合わせだけのメニューではなく、様々なアイディアメニューを作り、取り組んでこそ回転していくんだということです。                 

 (グルたむ)

カテゴリー
■イベリコ豚 未分類 生ハム・料理レシピ 生ハム/エンブティード

書籍のご案内 『イベリコ豚を買いに』   野地 秩嘉:著

 

作家である野地さんが、イベリコ豚を輸入して本格的なハムを作って販売するまでを、素人目線で面白おかしく感慨深く描いたノンフィクションです。

登場人物は数少ないので比較的軽い感じで読まれても、あっちこっちわからなくならずに、この本の醍醐味を感じることができるのではないでしょうか。

食肉業界の関係者やシェフなどが登場し、それぞれの立場にたった主義主張や考え方なども垣間見ることができる本です。

弊社も少し登場しておりますが、あらためて思い出しますといろんな意味で長い道のりでした。ちなみに今もこのハムは販売中です。

750_iberico

(グルたむ)

カテゴリー
スペインワイン リオハ・ワイン/スペインワイン 未分類 生ハム/エンブティード

“パンセタと半熟卵黄”と白ワインのマリアージュ

イベリコ豚の塩漬け熟成生ベーコン“パンセタ”。
はじめてこれを見た時は「ほぼ脂身?!」という見た目に驚きましたが、
オイレン酸をたっぷり含んだパンセタは、“エキストラバージンオイルを口にしたようなもの”
という実はヘルシーかつ美味な一品なのです。

パンセタについて「どうやって食べるんですか?」と質問を受けることがあります。 そのまま食べてもおいしいですが、何かと併せ、ひと手間加えてもさらにおいしさが増してきます。

そこでまた、パンセタ、さらにワインとのマリアージュのキーワードで検索したところ、おいしそうな
レシピが見つかりましたのでご紹介します。

スペイン北部、カンタブリア州のサンタンデールで注目の若手スペイン人シェフ、セルヒオ・バスタルド氏。
彼はこの土地のレストラン“La casona del judío”でカンタブリアの前衛料理を引っ張る一人として
日々腕を振るっています。 ランチメニュー税込19.90ユーロというリーズナブルさも受けた人気店ですので、近くに訪れることが
あればぜひ一度足を運んでみたいレストランの一つです。
http://www.casonadeljudio.es/

さて、そんなセルヒオシェフが紹介するパンセタレシピに
“パンセタと半熟卵黄~アーティチョークフライ添え~”というのがありました。

作り方はいたって簡単。
卵黄を冷凍し、凍らせることで軽く調理したような(まるでサンタ・クララ修道院の卵黄菓子)テクスチャーを持たせます。
その後、薄~くスライスしたパンセタと口の中でサクッと砕けるカリカリのアーチチョークを添え、最後に細かく砕いたヘーゼルナッツを振りかけ出来上がりです!

そしてこの一品に合わせるマリアージワインに、ベンハミン・ロメオの白ワイン“Que bonito cacareaba(ケ・ボニート・カカレアバ)”を推薦。卵黄とパンセタのオイリーさをそっとなでる優しくさっぱりとした白。パワフルでフレッシュできれいな酸の白ワインとのベストマッチということのようです。

簡単、でもちょっとゴージャスなタパスと極上の白ワインでリッチなひと時が過ごせる予感大。ぜひ一度お試しください。

川北真由美

http://www.verema.com/blog/con-sincio/1058409-huevo-baja-temperatura

—————————————-以下原文—————————————

Se trata de una yema texturizada, tocino ibérico, alcachofas y avellana.
Lo que hacemos es congelar la yema y va a ser a través de la congelación que actuara como cocción, consiguiendo una textura similar a las yemas de Santa Clara, luego lo acompañamos por una lámina muy fina de tocino ibérico, las alcachofas crocantes pero se deshacen en la boca y un poco de polvo de avellana.
Aportamos a la yema de una textura distinta, a la cual le sumamos el punto salino del tocino y la textura crocante de la alcachofa, finalmente un poco de aroma de fruto seco.

Maridaje del plato
El maridaje para este plato, ha sido el mismo Sergio Bastard, quien nos ha recomendado:
Qué bonito que cacareaba de Benjamín Romeo: Vino blanco con crianza, de Bodega Contador, de la DO Rioja, elaborado con malvasía, viura y garnacha blanca.
Vino con potencia, frescor y buena acidez.

カテゴリー
生ハム/エンブティード

生ハムにできる白い結晶ってなあに?

年末に生ハム生活をご購入頂いたお客様から、先日お問い合わせを頂きました。

「生ハムに白い結晶のようなものが入っているのですが何でしょうか?食べても大丈夫でしょうか?」

確かに生ハムの原木をカットしていきますと、時折生ハムの肉の繊維の中に白い結晶のようなものが出てくることがあります。スライスされたパックの生ハムなどにも時折見られます。

一瞬、え!何が入ってるの?ってドッキリされた事がある方もいらしゃるのではないでしょうか。
取り除いて召し上がった方もいらっしゃったかもしれませんね。

でも、ご安心ください。
これは「チロシン」というアミノ酸が固まったものですので、口当たりがジャリッとしますが、召し上がっていただいても全く問題はございません。

「チロシン」は長期熟成チーズから発見された「非必須アミノ酸」で、(チロシンという単語はギリシャ語のチーズに由来しています)「チロシン」を多く含む代表的なチーズにはイタリアの「パルミジャーノ・レジャーノ」がありますが、熟成が長くなるほど深いコクと旨味共に「チロシン」の量も増加します。

「チロシン」自体には特に旨味はありませんが、旨味成分のアミノ酸の増加と共にチロシンも増加します。
そしてこの「チロシン」は旨味成分が多いという証だけではなく、体に良いこともいろいろあるようです。

「チロシン」の健康効果としては、
「集中力を高める」「ストレスを和らげる」「白髪の予防」などがあげられています。
受験生やお年寄り、美容を気遣う女性にも嬉しい食品です。

また、糖分と一緒に摂ることによって吸収が良くなるとのことですので、
生ハムと果物を一緒に食べたり、熟成チーズに甘いジャムを合わせたりするのも理に適っているのかも知れませんね。

※非必須アミノ酸とは、体内で合成が可能なアミノ酸のことです。
グリシン、アラニン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、
アスパラギン、グルタミン、アルギニン、システイン、チロシン、
プロリンの11種類が存在します。

カテゴリー
イベント 生ハム/エンブティード

ハモンイベリコベジョータとハモンセラーノからいろいろ血統や産地のことを考えてみる

IMG 2462

6月11日に行われましたスペインワイン&フード商談会・大阪では写真の生ハムを出展しました。左はフビレスのハモンイベリコベジョータ44ヶ月熟成、右はカサルバのハモンセラーノ40ヶ月熟成です。写真を見比べますと、ハモンセラーノの方が生ハムのカットの断面が霜降りになっているのがおわかりになるでしょうか(よく見えない写真ですみません)、一方左のハモンイベリコベジョータは霜降りが無く肉の色合いも赤黒いです。こちらはイベリコ豚の純血種(血統100%、プーロPuroと呼ばれます)です。
 一般にイベリコ豚は霜降りが多いものと思われておりますが、それは純血種ではなく掛け合わせたイベリコ豚に霜降りが多くでます。純血種のイベリコ豚はむしろ霜降りが入りにくく、ベジョータにおいては脂が多く、しかしながらモモなどはほっそりと長いという特徴を持っています。写真をみても右のハモンセラーノと比べますとほっそりとしています。
又ロースなどは芯の部分がすごく細く小さくなります。かわりに背脂が10cm近くになることもあり脂に圧迫されたロースの芯はかなり細くなるという特徴があります。

 反対に、掛け合わせたイベリコ豚は霜降りが一般的に入りやすくなります。 イベリコ豚はデュロック種という豚と掛け合わせることが多いですがこのデュロック種と掛け合わせることで霜降りが入りやすくなる傾向にあります。

では?生ハムにした場合の、純血種のハモンイベリコベジョータと純血では無いハモンイベリコベジョータはどちらが美味しいでしょうか?
これは好き好きと言うほかはありません。純血種は霜降りこそ少ないですが、イベリコの味わいの特徴であります濃い味わいと脂の強さをより感じることが出来ますし、掛け合わせ(混血の一般的なもの)のハモンイベリコベジョータは、純血よりもマイルドな味わい深さと霜降りが入りやすいことによって脂の味わいを一緒に楽しむことが出来ます。また生体も大きくモモに肉が大きくなることからより長い熟成をかけることも出来ます。

最後にこのハモンイベリコベジョータのPRを少しだけ。。。
この生ハム(フビレスのハモンイベリコベジョータ)はスペインはアンダルシア地方のグラナダ県のトレベレス地方で熟成されていますが、原料肉はなんと500km以上離れたエストレマドゥーラ州のバダホスから輸送されものを熟成しています。
トレベレス地方の特徴は、19世紀中頃にイザベル2世がここで出来る生ハムにいたく感動しスペイン王家の紋章の使用を認めたことからも、生ハム熟成には最適な土地です。
弊社が取引している生ハム会社は、この他ブルゴスから北東に60km行ったところにあるカサルバもそうですが、どちらもこれらのイベリコ豚の生産地でも飼育地でもありません。

僕は生ハムの熟成に最適な土地とイベリコ豚の生産に適している土地とは必ずしも一致しないと思っています。
この2つの生産地の特徴は、清涼な風が吹き、スペインでも割と寒い地方で寒暖の差が多いと言うことです。フビレス村は緯度は低めですが標高が高く冬は雪が降るほど寒い地方ですし、ブルゴスも標高こそフビレス村まで無いですが、緯度が高いことから冬は寒い地域です。ちなみにグラナダの緯度は37度ほどですが日本では新潟がこれにあたりますし、ブルゴスは札幌とほぼ同緯度です。暖かいイメージが多いスペインでさえ緯度が高いことにびっくりです♪どうりでバルセロナなど行きますと夏など21時過ぎても明るいわけですね。

下記はフビレスのイベリコ豚の経路です。Bが生産者の近くのバダホス、Aがフビレス村です。おおよそ550km離れています。ざっと東京駅から新大阪の距離です。この距離をトラックで肉を運び、生ハムの熟成に適したところで生ハムを作っているのがトレベレスのフビレス村です。

一般的にイベリコ豚の飼育地(生産地)にある生ハムのメーカーが集中している地方は、ハヴーゴ(ハブーコ)やウェルバなどが有名です。特にハヴーゴの生ハムは一級品と呼ばれているようですが、この地域の特徴をあげてみることにします。
ハブーゴはスペインでも比較的南にありフビレス村などと同緯度ですが、標高が低いため年間を通して温度が高い地域です。温度が高い地域で生ハムを熟成しますと比較的早く熟成が完了し生ハムとして仕上がりますし、大きな重量がある後ろ足(生ハムの仕上がりで10kg以上のもの)は温暖な地方では熟成が難しい特徴があります。
どうしてか?という理由ですが、大きな後ろ足は、じっくりと長い時間をかけて乾燥し熟成がかかってくるわけで、その為にはある程度低い温度が必要です。温暖な地域でじっくりと熟成をかけることが困難なのはこのためです。大規模な生産者は塩漬けから発酵がかかるまでは冷蔵庫に入れて徐々に乾燥発酵をしていき数ヶ月後に常温にだして熟成をかけますが、大きな後ろ足は冷蔵庫の時点で熟成が進まないので常温に出すことが出来にくいのです。その為に、ハブーゴなどの温暖な地方では、割と小さい生ハム(仕上がりで6kg〜8kg止まり)が多いのです。
決して小さい生ハムが、良くない生ハムではありませんが、小さな生ハムは、早く熟成をしてしまうために、熟成期間が短く、比較的堅く、しっとりとしにくい特徴があります。その反面平均温度が高いところで熟成をかけているため、強い味わいの生ハムが出来ると言うわけです。

涼しい地域で熟成される生ハムはこの逆であり、比較的おとなしい味わいの生ハムが出来上がります。
しかしながらもっと強く香りを出したい時などは、温度の高いところ(25℃から30℃以上)に1〜2週間吊して使うだけで風味が強くなったりします。お店に吊しながらこのみの熟成加減にすることが出来るわけです。

最後に生ハムの管理ですが、一度常温に戻した生ハム(骨付きのものです)は、決して冷蔵庫に入れたり出したりしないことです。常温に戻したら使い切るまで常温です。
 

Screenshot