常温に放置してから150日が経過した。熟成(トータル19ヶ月弱で熟成)がすすんでいるハモンセラーノは
ひと夏を越えて、俄然!安定してきた感じがする。
日々の手入れはあまりしてない。2週間に1回ほど脂を塗ることで表面の
カビの発生はかなり抑えることができる。
もともとカビを生やして熟成をするのが生ハムだが、カビの種類によっては
味を悪くするものなどがあるので、基本的にはカビは生えたらふき取る、
生えないように手入れをする方向がいいと思う。
生ハムの内部では嫌気性の良質バクテリアは活動を続け、良質のアミノ酸を
増産させていることと思う。写真では脂の弾力までお伝えすることは
できないが、熟成はじめと比べるとかなり柔らかくなってきている。
お分かりになるだろうか?生ハムの一番下から脂が滴り落ちているのを!
床にはある程度の脂が滴っているが、常温での熟成が始まってすぐには
見られなかった現象だ。脂を分解するバクテリア(乳酸菌類)が、増殖して
脂を不飽和脂肪酸の植物性に変化している可能性がある。
今回は(9月19日)は明日からイタリアースペイン出張の為に試食は
できないが、前回の1ヶ月程前の試食の時には脂のえぐみがほとんど
消えていて、よりナチュラルで濃厚な味わいになってきていた。
まだまだ第一回目の常温での熟成ではっきりしたことは言えないが
脂が厚めのしっかりした大きい後ろ足の生ハムを購入後に用意して
じっくりと熟成を3ヶ月から6ヶ月ぐらいかけていくことによって、かなり
通好みの生ハムができてきそうだ。
日本の気候でも入梅時に多少、手入れをまめにすることによって
良質な熟成が可能になる。若いけど原料がしっかりしている生ハムを
購入して、じっくりと熟成をしていくことで旨い生ハムになっていくとは
心躍るものがあるし、たいへん興味深い。
新鮮できれいな風があるところで、良質なバクテリアが住み着くような
仕組みを作って様々な旨い生ハムやサラミだけを熟成させていれば、
通好みのバクテリアの組み合わせがより旨い生ハムを熟成させる、
「生ハム床」を完成させることができるかもしれない。
かなり心躍るものがありそうだ。