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しっとりとロゼ状に焼き上げた鹿ヒレは、驚くほど柔らかく美味しいです。クルミで包んだ鹿ヒレのロースト・赤ワインソース |
鹿肉の中でも、特に価値が高いとされる「エゾ鹿」は、北海道の大自然が産んだジビエとしての傑作かも知れません。 北海道の良質な山の幸をふんだんに食べ、鮮度良く、屠さつ・精肉にされたエゾシカは獣臭も少なく、我々日本人にも食べやすいジビエではないでしょうか。
しかも、近年エゾ鹿の数が増えていることから、衛生的な解体場所が作られ(こちらの鹿もそうです)、屠殺後に理想的な状態で血抜きから解体・冷却・保管が行われるために、なおいっそう肉の質感が良くなりそれが味に現れています。その中でもエゾ鹿のヒレ肉は、比較的柔らかいといわれるエゾ鹿肉でも、特に柔らかい部位です。味わいの濃さはもとより肉の繊細な食感を堪能したい部位です。
調理やレシピの特徴としましては、繊維が細く繊細な赤身肉ですので、アロゼなどのソテーの際にバターなどをまわしかけながら焼いたり、パイ包みなどをして優しく火を通していく工夫が必要と思います。ソースは赤ワインソースはもとより、ベリー系のソースや、マデラ酒、ポルト酒などお好みで合わせてお召し上がり下さい。合わせる赤ワインでソースを作ることで、なおいっそうマリアージュが楽しめることと思います。
エゾシカのヒレ肉は小さめですので、輪切りにしてソテーするのには適してない場合があります。そういった場合には、ヒレを三等分ぐらいにざっくりとカットして、長い状態でアロゼをすることをおすすめします。そういう状態でアロゼをすることで、火が直ぐには通りにくく、じっくりと入っていきますので、火が均等に入り、肉汁も落ち着けやすく、旨味を封じ込めることもできます。アロゼは、弱火でバターなどをまわしかけますが、気長にまわしかけることによって、両面から火が徐々に入ってきます。 決して焦がさず、優しく入れていくのがコツです。 焼き上がり後はしばらく休ませて、肉汁を繊維質に落ち着かせて召し上がることで、よりしっとりしたステーキが味わえることと思います。